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プラネット・ツアー
―地球が文明を作った― 4 火の力
私たちの暮らす地球は、想像をはるかに超えた力に満ちている。人類の歴史に影響を与えたこの偉大な力を、迫力ある映像とともに検証するシリーズ。今回のテーマは"火"。人類を進化へと導いた火とその歴史へと案内する。
人類の歴史と密接にかかわってきた恐ろしく強大な要素、"火"。火を扱うようになった人類は食物連鎖の頂点に立ち、道具を作って繁栄の道をたどった。さらに時代に合った炭素燃料を次々と見いだしてゆく。金属の時代へと導いた木炭、イギリスの産業革命をもたらした石炭、そして、現在もなおエネルギー源として幅広く応用される石油。今回は燃料が移行していく過程をひも解きながら、アメリカ・オレゴン州の湖に沈む太古の木々をはじめ、中国の黄河沿いにある石炭の町、イランの"塩の氷河"や塩洞穴、アゼルバイジャンで治療法として用いられる原油風呂、カスピ海に浮かぶ旧ソ連時代の石油都市を紹介する。
今回は、人類と火の関係性に焦点を当て歴史をひも解いてゆく。
地球に植物が誕生し、光合成によって酸素を放出した瞬間、この世に火が誕生した。それ以来、太古から燃料として活躍してきたのが炭素だ。火を利用するようになった人類は食物連鎖の頂点に立ち、道具を作り、文明を築いてきた。燃料が木炭へ移行すると、炎の温度が上がり、人類は金属を溶かす技術を手に入れた。
しかし、16世紀末に深刻な木材不足に陥る。そこで新たな燃料として台頭したのが石炭であった。水中に沈んだ木々が時を経て変化した物が石炭だ。当時はイギリスと中国が石炭の豊富な国として知られていた。イギリスでは蒸気機関の発明から産業革命が起こるが、中国では石炭の産出地が都市部から離れていたため、目覚ましい産業の発展はなかった。
石炭の次に登場したのが、より輸送しやすく効率のいい石油である。石油は生物の骨が海底の塩層下で泥状に変化した物だ。アゼルバイジャンでは、昔から治療法として原油につかる風習があった。イランでは"塩の氷河"や塩洞穴の下に豊富な石油が埋まっている。また、旧ソ連下ではカスピ海に浮かぶ石油都市が建設された。
しかし今、この石油も底を尽き始めた。その上、炭素自体も環境に悪影響を及ぼしている。つまり人類は新たな転機を迎えているのだ。