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ケニア・野生のゾウと暮らす
3 命の芽生え
ケニア共和国のサンブル国立保護区で活動する"セイブ・ジ・エレファンツ"チームを案内役に、象の知られざる生態に迫るシリーズの第3夜。乾季が終わりサンブル国立保護区に象が戻ってくると、"セイブ・ジ・エレファント"チームはにわかに忙しくなる。
象の首に付けた装置をGPSで認識し、集まってくる象の様子を画面で確認。保護区の周りを肉眼でも観察する。
繁殖期を迎えた象たちの活力あふれる季節の到来だ。今季は人間を襲ったこともある荒くれ者のオスが数年ぶりに保護区に現われ、メスの獲得レースにも拍車がかかるだろう。また、脚に怪我をした小象の命を救うため、獣医とチームによる危険な作戦が遂行される。
一方、保護区の外では象の死骸が見つかり、綿密な現場検証から犯人は密猟者だと判明。象は自然の厳しさとともに、心ない人間の脅威にもさらされている。象の未来を守るため、チームは保護区の象を見守り、研究を怠らない。そこには常に新たな発見がある。
乾季が終わり、水を求めサンブル国立保護区を去った象の群れは雨とともに戻ってくる。これから象たちの繁殖期が始まり、一年でもっとも活気に満ちた時期になる。象の研究・保護を行う"セイブ・ジ・エレファント"チームは、個体に付けた装置とGPSを用いて象の動きを把握する。チームの創設者であるイアンは常に先端技術を駆使して研究を行ってきた。だが、基本は個体認識。研究員のデビッドは600頭の象を見分けることができる。そしてデビッドが日々待ちわびた、小象のブリーズのいる群れが戻ってきた。厳しい乾季を乗り切ることのできる小象は限られているが、ブリーズは元気に成長していた!
繁殖期を迎え、オスたちの興奮は高まっている。そんな中、荒くれ者のロメルが現われた。6年前に研究員の車を襲ったこの象は、体格も気性の荒さも他のオスより飛びぬけている。すでに死んだと思われていた象の登場に、研究員のサバは警戒を強める。その頃、保護区内のはるか遠くで、群のリーダー・モヒカンがやはり発情期を迎えていた。寄ってくる血気さかんなオスたちを退けながら、彼女は強いオスを待っている。ロメルは風の匂いを嗅ぎ、耳をすまし、五感でモヒカンを探し当てた。そして並みいるオスと競い、牙を1本失いながらもついにモヒカンを射止める。
一方、脚を怪我した生後数週間の小象が見つかった。母親から離して治療しないと命が危ない。チームは母子に麻酔を打つ作戦を立てたが、倒れた母が子を潰す可能性があるため、極めて危険性が高い。だが、研究員の経験が功を奏し作戦は成功した。保護区内の放牧民からは、象が死んでいるという報告が入る。カヒンディが現場検証と死骸から多くの事実を突きとめ、犯人は密猟者だと判明。数か月前にも別の象が被害を受けたばかりだった。
遊牧民は"善をもたらす"とされる象を大事にするので、密猟防止の番人としてうってつけだと期待されている。次世代を担う子どもたちも含め周囲の人々の協力を得ながら、チームはこれからも象が生きやすい環境を維持するため、象の研究を続けていく。