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ヨーロッパ~時空を越える驚異の大陸~
4 ヨーロッパ大陸の未来
21世紀のヨーロッパ大陸。これまで自然を破壊し続け、野生動物たちを絶滅に追いやってきた人類は、ようやく自然の大切さに気付いた。ヨーロッパでは現在、野生動物を保護する計画が進められている。果たして、失われた自然を甦らせることは出来るのか。
番組では、野生動物とうまく共存するために力を尽くす人々の姿を追いながら、ヨーロッパ大陸の未来を考える。
現在、ヨーロッパ大陸の人口はおよそ7億人にまで膨れ上がり、大陸のいたるところに大きな都市が存在している。そうした人類の繁栄と引き替えに、自然は破壊され、野生動物たちは居場所をなくしてしまった。
イタリア、ローマ。この街には、毎年、冬になると、300万羽ものムクドリが北の方からやってくる。街では多くの熱が発生するため、ローマのような大都市は郊外よりも気温が高く、ムクドリたちは、その暖かさに集まってくるのである。しかし、ムクドリの群れはところ構わず空からフンの雨を降らすため、ローマの人々は大きな被害を受けている。
オーストリアのウィーンにも、居場所をなくした野生動物たちがいた。ウィーンのシンボルの一つ、シュテファン寺院には、ハヤブサや、イタチの仲間のテンが住み着いている。また、スペイン北部の町アルファロでは、コウノトリが大聖堂の上に巣を作り、イギリスのロンドンには、およそ1万匹ものアカギツネが生息している。街に住み着いた、このような野生動物たちが、かつてのように自然の中で暮らすことができるよう、人々は自然と野生動物たちの保護に乗り出した。
現在ヨーロッパでは、大陸を移動しようとする野生動物の多くが、交通事故によって命を落としている。そこで、人々は、道路の上に動物たちの通り道を作り、動物たちが自動車と接触することなく道を横切ることが出来るようにした。
また、産業革命が始まって以来、何十年にもわたって汚染され続けてきたドナウ川やライン川の浄化にも着手する。そして、汚染によって長いことライン川から姿を消していたアトランティックサーモンを放流するという計画を始めた。夏に、何百万というサーモンの子供をライン川の支流に放流するのである。毎年、ほんのわずかながら、大人になったサーモンが海から戻ってくるようになった。
こうした人間たちの努力によって、ヨーロッパの自然は、少しずつ息を吹き返している。しかし、考えなければならない問題はまだたくさんある。外来種の動物や植物の異常繁殖、そして急速に進む温暖化。ようやく再生した自然を守るために、今人類がするべきことは何なのか、ヨーロッパ大陸の未来を考える。