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ストーリー

ヨーロッパ~時空を越える驚異の大陸~
2 氷河期のヨーロッパ

今から200万年前、氷河期が訪れ、ヨーロッパ大陸は巨大な氷河で覆い尽くされた。この氷河期は、その後、ヨーロッパの地形を大きく変えることとなる。ロシアにあるヨーロッパ最大の湖、ラドガ湖や、ノルウェーのフィヨルド、そしてアルプス山脈の深い渓谷などは、どれも氷河期による影響で生まれた。
番組では、最新のCG技術を駆使して厚さ2000メートルにも及ぶ巨大な氷河を再現し、氷河期がヨーロッパの地形を作り替えていく様子に迫る。

およそ200万年前、ヨーロッパを氷河期が襲った。太陽を回る地球の軌道が変化し、太陽からの距離が遠くなったため、地球が受ける太陽の光の量が減ってしまったのである。その結果、気温は急激に下がり、巨大な氷河がヨーロッパ大陸を覆い尽くした。この氷河期は、その後、ヨーロッパの地形を大きく作り替えることとなる。そして氷河期は、地形だけではなく、ヨーロッパに住む様々な生き物たちにも大きな影響を与えた。
氷河期、海水が氷河の中に取り込まれて凍ったため、海面は現在より100メートル以上も低く、当時は北海もベーリング海峡も陸地だったと考えられている。北海でマンモスの骨が見つかったことから、北海がかつて陸地だったことが明らかとなった。
およそ4万年前、厳しい氷河期が続く中、人類の祖先であるクロマニヨン人は、アフリカからヨーロッパへ向けて旅を始めた。その頃、ヨーロッパ大陸ではネアンデルタール人が生き延びていたが、ネアンデルタール人は、およそ3万年前に絶滅してしまう。一方、クロマニヨン人はヨーロッパの環境にうまく適応し、繁栄していく。

そして、今からおよそ1万年前、再び地球の軌道が変化し、長く続いた氷河期は終わりを告げた。100年足らずの間に気温は10度も上昇し、氷河は一気に溶け始める。何万年分もの雪解け水でヨーロッパ大陸の川は勢いを増し、川の氾濫によって多くの湖が生まれた。ロシアにあるヨーロッパ最大の湖、ラドガ湖もその一つである。また、溶けだした氷河が自らの重みで滑るようにして移動し、進みながら周りの岩や地面を削って、アルプスの深い渓谷やノルウェーのフィヨルドを作った。フィヨルドとは、氷河が地面を削って出来た深い谷が、氷が溶けて海面が上がったことで水没し、形成された入り江である。
大陸中を覆っていた氷河が溶けたことで海面の水位は100メートル以上も上昇し、新たな海岸線が生まれた。これによって、ヨーロッパ大陸の輪郭が、現在とほぼ同じになったのである。ヨーロッパの気候は暖かく穏やかになり、大陸は再び森で覆われ、生命に満ち溢れた。氷河期の到来と終結が、ヨーロッパ大陸の地形と生態系を大きく変えたのである。
番組では、厚さ2000メートルにも及ぶ巨大な氷河や、1万年前に絶滅したとされるマンモスなどを、迫力あるCG映像で鮮やかに甦らせ、氷河期のヨーロッパを再現している。