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ストーリー

エイプマン 第3回 変わり始めた体

ヒトの起源を探るシリーズの第2夜。今夜は、発掘された化石人骨から身体の構造や機能を推測し、それが類人猿の祖先とヒトとの分岐点にあたる存在なのかどうか検証する。
1980年代、ケニアで古生物学史上の大発見、古生物学者リチャード・リーキーが率いる調査チームによって、およそ150万年前のホモエレクトスの化石人骨が発掘された。この骨はヒトにとても近い特徴を備えていたため、ヒトの直接の祖先にあたるのではないかと大きな注目を浴びた。 しかし科学的な分析が進むにつれ大きな疑問が生じる。果たして、この骨の持ち主はヒトに限りなく近い存在なのだろうか、それとも身体の外見的特徴がヒトに似ていただけなのだろうか…?

1891年、ジャワ島でオランダの人類学者ユージン・デュボアが成し遂げた大発見。それはヒトに似た脚の骨と、サルのような小さな頭蓋骨だった。デュボアはこの化石人骨をピテカントロプス・エレクトス(直立原人)と名づけた。
しかし、当時の学界はこの発見がヒトの起源を表すとは認めなかった。もしこの化石人骨が本当にヒトの起源なら、発達した脳を持っているはず、すなわち頭蓋骨はもっと大きかったはずだというのだ。
この発見からほぼ100年後の1980年代、ケニアで、古生物学者リチャード・リーキーと化石発掘者のカモヤ・キメウが、およそ150万年前のホモエレクトスの化石人骨を発掘することに成功。発見場所である湖の名にちなんで「ナリオコトメ・ボーイ」と名づけられたこの化石人骨は、ヒトに近い特徴を備え、身長が高くがっしりした体格をしていたと思われた。
しかし古生物学者のアラン・ウォーカーが骨を研究するうちに大きな疑問が持ち上がる。「ナリオコトメ・ボーイ」はヒトと似てはいるものの、言語能力に欠けていたと思われるのだ。その言語能力こそ、類人猿とヒトが一線を画する大切な能力だ。
この骨の持ち主はヒトに近い存在だったのだろうか、それとも外見がヒトに似ていただけなのだろうか。まだ明確な答えは出ていない…。