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エイプマン 第2回 人類の誕生
人類の進化の歴史を辿るシリーズ。今夜は、人類最古の祖先とされる猿人の謎に迫る。アフリカ各地で出土した猿人の化石を様々な角度から検証し、その姿形や生態、さらに進化のメカニズムを明らかにしていく。猿人は類人猿とヒトの中間段階と言われるが、2本足で歩行していた点を除けば、その実態は類人猿に近い。体も小さく、捕食動物の脅威にさらされていた猿人が、過酷な生存競争に勝ち残り、我々の祖先となり得たのはなぜか? 類人猿からヒトへと進化の道が開かれた過程を探る。
南アフリカのタウングから出土した、奇妙な生物の頭蓋骨の化石。解剖学の権威であったレイモンド・ダートは、この化石が人類の祖先の骨であることを発見する。ダートはこの生物を、アウストラロピテクス・アフリカヌス、アフリカヌス猿人と名づけた。
後に、猿人には2つの種が存在していたことが判明する。小柄な体つきの「きゃしゃな猿人」と、がっちりしたアゴを備えた「頑丈な猿人」である。およそ300万年前、気候の変化により豊潤な森が消滅したアフリカで、「頑丈な猿人」は植物の根を食べて命を繋いだ。しかし、その一方で「きゃしゃな猿人」は、いち早く石器を発明し、肉食を開始した。「きゃしゃな猿人」と「頑丈な猿人」の頭蓋骨の形から、我々人間の脳は、「きゃしゃな猿人」から進化したものであることが判明する。つまり、過酷な生存競争に勝ち残り、我々の祖先となったのは「きゃしゃな猿人」だったのだ。
「きゃしゃな猿人」は、石に細工して動物の骨を砕き、骨髄や大脳を取り出して食べていた。肉食を始めたことで、栄養価の高い食事がとれるようになり、結果として、それが猿人の大脳の発達を促したものと考えられる。道具の発明、食生活の変化、大脳の発達、この3つの要素が効果的に作用し合い、さらなる進化への土壌が整えられたのである。