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ストーリー

ルネサンスの真実 宗教改革とルネサンス

ルネサンスの全貌を追って、ヨーロッパ各地を訪ねるシリーズ。
1499年、ルネサンスが頂点に達しようとしていたヨーロッパでは、終末思想が流行し社会は混乱の中にあった。ローマ教皇率いるローマ・カトリック教会は、繁栄の座に酔いしれ、富と権力をほしいままにしていた。そんな教会に反感を抱いたイタリア以北のヨーロッパでは、様々な反乱が起こり、
その動きはルターの指導の元、宗教改革へと発展した。けんらんたるカトリックの芸術と、勤勉を尊ぶ謙虚なプロテスタントの芸術。宗教改革により生み出された2つのキリスト教文化の対比を鮮やかに描く。芸術作品を鑑賞するとともに、キリスト教の奥深さを実感できる。

迷信に対する理性の勝利と讃えられたルネサンスだが、その頂点を迎えた時期、ヨーロッパ社会は迷信と混乱の渦に巻き込まれていた。それまでキリスト教世界を支配し、繁栄の座にあぐらをかいてきたローマ・カトリック教会が様々な反乱に直面するようになったのである。ローマ教皇ユリウス2世は、失われたローマの威信を取り戻すために大規模な再建に取り組んだ。ブラマンテら建築家にはサン・ピエトロ大聖堂の改築を命じ、次々と大規模な建造物を造らせ、ローマの街並みを変えていった。
そしてラファエロやミケランジェロといった芸術家たちには、システィナ礼拝堂の天井画やバチカン宮殿のフレスコ画などけんらんたる作品を制作させ、人々に教皇の権力を知らしめたのである。 その頃、ドイツの都市を中心とした北ヨーロッパでは新しい信仰が生まれつつあった。キリストの生き方と聖書に忠実なその信仰が、富と名誉に執着するローマ・カトリック教会に反感を抱く人々の支持を集めたのだ。この信仰は、新しくもたらされた印刷の技術で急速に広まった。
そんな中、ローマ・カトリック教会は建築や芸術に莫大な予算を注ぎ込み続けた。そして、必要な財源を得るため、全ての罪を許すという贖宥状(免罪符)を各地で売りさばいた。これに怒りを抱いたルターはローマ・カトリック教会に反旗を翻し、プロテスタント教会を設立した。世に言う宗教改革である。これを機に、ドイツではクラーナハが、プロテスタントの精神を表現する新しい宗教芸術を生み出した。こうして、繁栄の極みにあったキリスト教の社会と文化は、カトリックとプロテスタント、そして更に細かな集団へと、バラバラに分裂していったのである。