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ルネサンスの真実 賢者の旅
ルネサンスの全貌を追って、ヨーロッパ各地を訪ねるシリーズ。
ルネサンス期のイタリアでは、多くの共和国や公国、そして王国が並び立ち、文化芸術を競い合っていた。それまでギルドの職人に過ぎなかった画家や建築家、彫刻家は宮廷を渡り歩き、芸術家としての地位を徐々に高めていく。様々な都市から都市へと移動し、それぞれの国家が目指した理想と、代表的な芸術作品を紹介する。
ルネサンス期のイタリアでは、フィレンツェ、リミニ、ウルビーノ、マントバ、フェラーラ、ミラノなどの小国家が並び立ち、政治的覇権ばかりでなく、文化芸術を盛んに競い合っていた。画家たちはギルドに縛られ注文どおりの宗教画を描く従来の「職人」から、自由人、自ら創造する天才へと変貌を遂げていった。そんな中で、宗教とは関係のない世俗的な絵画、裕福な個人の楽しみのためだけに描かれる絵画が登場し、裕福なパトロンたちが、彼らの創作活動を支えた。フィレンツェのメディチ家、リミニのシジスモンド・マラテスタ、ウルビーノのフェデリーコ・ダ・モンテフェルトロ、マントバのイザベッラ・デステ、ミラノのスフォルツァ家…。彼らの引き立てのもと、キラ星のごとき芸術家たちが才能を発揮していく。建築家ミケロッツォ、彫刻家ドゥッチョ、画家ピエロ・デラ・フランチェスカ、マンテーニャ、コッサ、ボッティチェリ。
そしてルネサンスは「天才」という概念を生み出した。その名に最もふさわしいルネサンス人が、レオナルド・ダ・ヴィンチである。彼はこの世のすべてを記録しそれを理解したいと願った。そして画家は宇宙の秘密を握る者であり、もう一人の神だと言い放った。しかし、皮肉なことに彼は世渡りが下手で、なかなかその才能を発揮できなかった。やがて芸術家たちは自由な創作活動と引き換えに、教会やギルドの庇護を失った。自分でパトロンを見つけ、マーケットで作品を売りさばき、自活していかなくてはならなくなったのだ。
建築家ミケロッツォが建てたフィレンツェのパラッツォ・リッカルディ=メディチ、彫刻家ドゥッチョが内装を手がけたリミニの礼拝堂、画家ピエロ・デラ・フランチェスカがウルビーノで描いた宗教画、マンテーニャが描いたマントバ、パラッツォ・ドゥカーレのフレスコ画。そしてルネサンスの二人の天才サンドロ・ボッティッチェリとレオナルド・ダ・ヴィンチが残した傑作の数々。番組では、これらの優れた芸術作品を紹介するとともに、その裏で大きな価値観の変動にさらされほんろうされた芸術家たちの真実の姿を追う。