百年名家～築100年の家を訪ねる旅～

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渋沢栄一の故郷「深谷」第２弾
～資本主義の父が遺した和の豪邸～

今回は埼玉県深谷市の第２弾。深谷は、明治から大正にかけて活躍した実業家、渋沢栄一の生誕地。渋沢栄一は多種多様な企業の設立・経営に関わり「日本資本主義の父」と称される人物です。第２弾の今回はそんな渋沢栄一の生地に建つ実家を拝見します。代々農業を営んでいた渋沢家は、養蚕や藍染の原料である「藍玉」の販売なども手掛けて財を成しました。栄一も家の商売を手伝う中でビジネスの才覚を培ったと言われています。現在の主屋は、家督を継いだ妹夫婦によって明治２８年に上棟され、「中の家」（なかんち）と呼ばれています。外観は切妻造２階建ての屋根に煙出しが付けられ、養蚕農家の特徴を色濃く留めています。内部は典型的な豪農住宅らしい六間取りの構成。中でも注目は、妹夫婦が東京で暮らす栄一のために造った上座敷です。帰郷した栄一が心静かに過ごせるように、あえてこの部屋の上には養蚕用の２階を造らなかったと伝えられています。室内は金物を排した柔らかな書院造り。設えられた欅の一枚板の床板や鉄刀木の床柱などからも、渋沢家の繁栄ぶりが窺えます。「中の家」は日本の近代化を牽引した実業家、渋沢栄一のルーツを垣間見ることのできる名建築です。