百年名家～築100年の家を訪ねる旅～

アール・ヌーヴォーの館 前編 ～巨匠・辰野金吾の異色作「旧松本家住宅」～

今回は福岡県の北九州市にある「旧松本家住宅」を訪ねます。北九州市は、かつて日本最大規模を誇った筑豊炭田によって、日本の近代化を支えてきました。そんなこの街に遺された名建築を2週にわたりご紹介します。旧松本家住宅は、実業家松本健次郎によって、明治45年に自宅兼迎賓館として建てられました。健次郎は父である安川敬一郎とともに、かつての安川財閥を創り上げた人物です。旧松本家住宅は洋館と日本館で構成され、どちらも昭和47年に国の重要文化財に指定されました。前編の今回は日本近代建築の父、辰野金吾が設計した洋館を巡ります。辰野作品といえば、日本銀行や東京駅に代表される重厚かつ壮大な設計で知られています。ところがこの建物には、北ヨーロッパの木造建築で見られるハーフティンバー様式が施されています。辰野とハーフティンバーは驚きの取り合わせですが、もっと驚くのは洋館内部。そこにはアール・ヌーヴォーのデザインがふんだんに用いられています。中でも賓客用の食堂は、壁や飾り棚に至るまで、大胆な曲線と直線の組み合わせで彩られ、まさにこの建物を象徴する部屋となっています。日本を代表するアール・ヌーヴォーの館は必見です。

取材先情報

旧松本家住宅（西日本工業倶楽部）

福岡県北九州市戸畑区一枝1-4-33　
TEL：093-871-1031（代表）　093-616-8222（婚礼直通）
※婚礼や会食にご利用できます。詳しくはお問い合わせください。

公開：通常は非公開です。
　　　春・秋の年２回（各１日限定）に特別公開を行っております。
　　　日程は公開の１ヶ月半～２ヶ月前に決定し、市政だより・戸畑区役所
ホームページでお知らせいたします。詳細につきましては戸畑区役所
総務企画課 TEL：093-871-1501(内線262)へお問い合わせください。

※上記以外の情報については、公開出来ません。