百年名家~築100年の家を訪ねる旅~
バックナンバー
東京・新宿 林芙美子記念館
~「放浪記」の作家が造った独創空間~
今回は東京・新宿にある「林芙美子記念館」を訪ねます。この建物は小説家、林芙美子が昭和16年に建てた邸宅。芙美子は「放浪記」や「浮雲」など、数々の名作を世に送り出した昭和を代表する作家です。建築にあたり芙美子は、200冊近くにも及ぶ建築書籍に目を通し、材木や瓦、大工技術についての知識を深めるなど、並々ならぬこだわりをみせます。芙美子は、客間などの人目の付く空間よりも、生活空間に工夫と贅を凝らし、快適に暮らすことを第一に考えた独創的な空間を造り上げます。敷地内は「生活棟」と「アトリエ棟」という2つの建物で構成され、その使用目的で完全に空間が分けられています。生活棟はプライベートな時間を過ごすための、数寄屋建築をアレンジした造り。アトリエ棟は部屋ごとに独立した造りになっています。中でも注目は、生活棟に設えられた「茶の間」。舞台「放浪記」のラストシーンのモデルとなったこの部屋には2段押入れや収納式神棚、多くの小引き出しが備えられているなど、芙美子の建築理念である、快適な暮らしを第一に考えた合理性が随所に見られます。広縁の建具を全面硝子戸にすることで、庭と室内が一体化した開放的な空間は必見です。
取材先情報
新宿区立林芙美子記念館
東京都新宿区中井2-20-1
TEL:03-5996-9207またはTEL:03-5996-9207(新宿歴史博物館)
開館時間:午前10時から午後4時30分まで(ただし入館は午後4時まで)
休館日:月曜日(月曜日が休日にあたるときは、その翌日)
年末・年始(12月29日~1月3日)
入館料:一般150円、小・中学生50円
団体20名以上の場合は、一般80円 小・中学生30円
交通案内:都営地下鉄大江戸線・西武新宿線「中井駅」より徒歩7分
地下鉄東西線「落合駅」より徒歩15分
西武バス「中井駅」より徒歩5分。
※ガイドボランティアによる館内の解説を実施しています。
(1)期間:3月下旬~6月下旬・9月下旬~11月下旬
(2)時間:平日13時~16時
土日祝日10時~16時
上記期間外は土日祝日(10時~16時)のみ実施
詳しい日程や上記以外の日程での解説希望等については、
お電話にてお問合せください。
※上記以外の情報については、公開出来ません。