百年名家~築100年の家を訪ねる旅~

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洋と和の華麗なる共演 ~川口の豪商が建てた「旧田中家住宅」~

今回は、埼玉県川口市の『旧田中家住宅』を訪ねます。旧田中家住宅が建てられたのは大正12年。主屋は木骨煉瓦造3階建ての洋館と、それに続く和館で構成されています。かつての日光御成り道沿いに建てられた洋館は、ルネッサンスやチューダー・ゴシック、ゼセッションなどの様式が組み合わされた本格的な西洋建築。化粧煉瓦で覆われた堂々たる姿は、大正当時の川口商家の繁栄ぶりを今に伝えています。施主は味噌醸造業、材木商として財を成した4代目田中德兵衞。材木商を営んでいただけあって、洋館和館ともに最高級の銘木を惜しげもなく使っています。ユニークなのは3階建ての洋館内部。外観からは非の打ちどころのない完璧な洋館なのですが、一階の店舗部分に足を踏み入れると、そこには伝統的商家の帳場が現れます。設計者は櫻井忍夫という人物。専門的な学校には通わず、現場叩き上げ一筋の建築家です。下積み時代には日本屈指の堂営大工棟梁や、草分け的西洋建築家のもとで修業した櫻井。和と洋を知り尽くした彼独特のデザインを生み出しています。平成17年に川口市が取得した旧田中家住宅は、当時の川口商人の繁栄ぶりと中堅建築家の力量を知る貴重な建物です。

取材先情報

旧田中家住宅

埼玉県川口市末広1丁目7番2号  TEL:048-222-1061(川口市立文化財センター)
公開時間:午前9時30分~午後4時30分(入館は午後4時まで)
休館日:
月曜日(月曜日が祝日の場合は、その直後の平日)
祝日の翌日(その日が休日または月曜日の場合は、直後の平日)
年末年始(12月29日~1月3日)

※上記以外の情報については、公開出来ません。