百年名家~築100年の家を訪ねる旅~
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箱根の老舗「三河屋旅館」 ~伝統とモダン 小涌谷の館~
今回は日本有数の人気リゾート地、箱根小涌谷温泉に建つ老舗『三河屋旅館』を訪ねます。小涌谷は温泉地として開発される以前は「小地獄」と呼ばれ、一面の原野だったそうです。そんな小涌谷に注目して周辺を買い取ったのが、横浜で実業家として財を成した榎本猪三郎、恭三親子です。本来は牧場経営のために小涌谷一帯を取得したそうですが、開発の途中で偶然にも温泉が湧き出したため、急きょ目的を温泉地開発に変更し、明治16年に三河屋旅館を創業したと伝えられています。現在の本館は大正時代に建て替えられたものですが、温泉地の発展過程をよく伝える貴重な建物として、2011年に国の有形文化財に登録されています。創業者親子は外国人居留地の近接する横浜で事業をしていた関係もあり、当初から現在に至るまで多くの外国人が訪れています。また、"中国革命の父"孫文や、画家の竹久夢二、歌人の与謝野鉄幹・晶子夫妻など、政治家や文人墨客にも愛されてきました。玄関に設えられた美しい造形の火灯窓や懸魚、ハイカラなテイストのラウンジ、さらに天井に設けられた明り採りガラスなど、その先進的で独創的な意匠は、まさに「デザインの館」と言うにふさわしい建物です。
取材先情報
三河屋旅館
神奈川県足柄下郡箱根小涌谷503 TEL:0460-82-2231
※お電話での問い合わせは午前8時から午後8時まで
チェックイン:午後3時~(最終チェックイン午後7時)
チェックアウト:~午前10時
※上記以外の情報については、公開出来ません。