百年名家~築100年の家を訪ねる旅~
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最後の水戸藩主が建てた「戸定邸」 ~"幻の将軍"の面影残る大名屋敷~
今回は、江戸時代の大名屋敷の面影を求めて、千葉県松戸市にある国の重要文化財「戸定邸」を訪ねます。戸定邸は、江戸幕府最後の将軍徳川慶喜の弟にして、最後の水戸藩主、徳川昭武が明治17年に完成させ、後半生を過ごした邸宅です。眼下に江戸川、遠くに富士山を望む見晴らしのよい高台に、ほぼ完全なかたちで残るこの大規模邸宅は、旧大名が明治になって大名の下屋敷の様式に倣って建てたものです。明治維新後、諸大名の上屋敷は新政府により接収・転用され、取り壊されました。下屋敷は大名華族の私邸として用いられることもありましたが、関東大震災や第2次世界大戦、戦後の再開発によって姿を消しました。そのような背景からこの戸定邸は、江戸時代の大名屋敷の姿を今に留める貴重な存在となっています。建て主の徳川昭武は、兄である将軍徳川慶喜の名代として、わずか13歳でヨーロッパ各国を歴訪し、パリで学んだ人物です。そのためか純和風住宅から望む庭園は、芝生を敷き詰めるなどどこか西洋風でもあります。明治維新により多くを失ういっぽうで自由な時間を得た徳川慶喜・昭武兄弟は、この戸定邸で写真撮影や狩猟などの共通の趣味を存分に楽しみました。
取材先情報
松戸市戸定歴史館(戸定邸)
千葉県松戸市松戸714-1 TEL:047-362-2050
開館時刻:
9時30分から17時00分まで(入館は16時30分まで)
※戸定が丘歴史公園は、9時から入園できます。
休館日:
月曜日(祝日の場合にはその翌日)、年末年始(12月28日から1月5日まで)
※上記以外の情報については、公開出来ません。