百年名家~築100年の家を訪ねる旅~
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超絶技巧の館 「遠山邸」(後編)
~匠の技が織りなす母への愛~
今回は、戦前に建てられた個人邸宅の"最高峰級"と評される「遠山邸」の後編。施主は日興證券の創立者、遠山元一。遠山家は代々豪農の家柄でしたが、元一の幼少時代に没落。そのため元一は、丁稚奉公から証券の世界に身を投じ、ついに会社を興すまでに成功します。やがて元一は生家の土地を買い戻し、苦労した母親のために生家を再建しました。今回「後編」として最初に紹介するのは、通常非公開の中棟2階。中棟は典型的な近代和風建築なのですが、階段を上がると何とそこには華麗な洋室が。この部屋には朝香宮様が宿泊されたこともあり、まさに皇室建築のような和と洋の混在した独特の世界観が漂います。意匠や建具などには、まるで美術工芸品のごとき装飾が施されています。続いて拝見するのは母親の住居だった西棟。そこでは当代きっての名工たちが誇りをかけて造り上げた、今では再現不可能な"超絶技巧"を堪能することができます。目に見えないところまで手を抜かない職人魂と、日本全国から銘木を集め、時間と財を惜しまず注ぎ込んだ施主のこだわり。今も全国から多くの職人たちが研修に訪れるというこの家には、日本の誇る近代和風建築のひとつの頂点がありました。
取材先情報
遠山記念館(遠山邸)
埼玉県比企郡川島町白井沼675 TEL:049-297-0007
開館時刻:10時から16時30分(入館は16時まで)
休館日:
月曜日(祝祭日の場合は開館、翌日休館)
年末年始 12月21日~1月8日
※美術館のみ休館日 (邸宅・庭園はご覧になれます)
2014年9月9日~9月12日、10月28日~10月31日
※遠山邸中棟2階の秋の公開日
2014年9月28日, 10月11日, 11月8日
茶室は非公開です。貸席としてご利用できます。
※上記以外の情報については、公開出来ません。