百年名家~築100年の家を訪ねる旅~
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滋賀・近江八幡 ~豪商のふるさとを巡る旅~
今回の『百年名家』は、滋賀・近江八幡。
近江八幡市は、豊臣秀次(とよとみひでつぐ)が築いた城下町を基礎として発展した「近江商人の発祥の地」です。国の重要伝統的建造物群保存地区として選定されており、時代劇の撮影場所としてもよく使われます。 2006年には「近江八幡の水郷」として重要文化的景観の第1号に選定されました。 また、建築家ウィリアム・メレル・ヴォーリズが住み、多くの近代建築作品を残した地としても知られています。そんな近江商人たちが築き上げた町並みを八嶋さんと牧瀬さんが巡ります。
八幡堀を散策する2人。八幡掘は豊臣秀次が八幡山のふもとに城下町を開いた際、琵琶湖を往来する荷船をすべて八幡に寄港させるために設けられた運河です。かつては帆を立てた商船が往来し、商人らの熱気に満ちあふれていました。2人は屋形船に乗り込み、当時の近江商人の様子に思いを馳せました。 屋形船を降りた2人は懐かしのポン菓子屋さんを発見。菓子作りを実演してもらえるとのことで、八嶋さんもお手伝い。あまりの大きな音に驚きながらも、昔ながらの手法を間近に拝見しました。
近江八幡の町割りは、古くから碁盤の目のように整理されています。かつての近江商人本宅の家々が立ち並び、八幡堀に面した土蔵群は往時の繁栄を偲ばせます。そんな近江商人の代表的な豪商の家「旧西川家住宅」を訪れました。「旧西川家住宅」は、かつて蚊帳や畳表を商い、江戸、大坂、京都に店を構えた商家であり、残された家屋は3代目によって宝永3年(1706年)に建てられたもので、昭和58年1月に国の重要文化財に指定されています。2人はここで典型的な近江商人の住宅様式を学びました。
続いて2人はもう一軒の商家「旧伴家住宅」を訪れました。「旧伴家住宅」は約200年前に建てられたもので、明治以降は小学校や役場、女学校と役割を変えています。近江商人の豪商の家らしく圧巻の小屋組みで、主屋の梁の長さは、これまで番組で見てきた中でも最大級の7間!最も大きな特徴が、竣工当時には建築を禁止されていた3階部分。この家の力の証となっています。普段は未公開ですが、今回この3階部分を特別に拝見させていただきました。するとそこには・・・?!
町を歩いている2人は一軒の可愛らしい洋館を目にしました。ここ「旧八幡郵便局」は和洋折衷、寄棟屋根のヴォーリズ初期の貴重な建物です。ウィリアム・メレル・ヴォーリズは、日本で数多くの建築を手がけたアメリカ人建築家。近江兄弟社を設立し、メンソレータムの普及に努めた実業家でもあります。一度、玄関部分が取り壊されましたが、平成16年に地元のヴォーリズ建築保存再生運動によって再生、現在もボランティアの方々によってゆっくりと復元作業が進められています。
伝統的な町並みが残る近江八幡ですが近年は人口減や少子高齢化で空き町家が増えています。そんな中、空き家を借りて住みながら利用する大学生の活動や、地元の有志などによって新たなお店を始める試みなどが始まっています。その中の一つ「尾賀商店」は、もともとは砂糖問屋だった築150年の古民家を買い取って、4人の有志が立ち上げたショップ&ギャラリー。懐かしさと斬新なアート感覚が同居した素敵な空間となっています。
旅の最後に2人は「旧西川家住宅」初代当主、西川利右衛門の大番頭を務めた方の住居を訪れました。台所まわりは利便性を考え改装したそうですが、当時のまま住居として使われています。古い家具などの調度品を自分なりに工夫し、見事に調和のとれた落ち着いた空間は、ご近所の方たちの憩いの場…長い歴史と暖かみを感じさせてくれる、そんな建物でした。
今回は、歴史的商家とそこで暮らす人々の誇りを感じた旅でした。