百年名家~築100年の家を訪ねる旅~

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奈良・五條 ~日本最古の町家めぐり~

今回の『百年名家』は、奈良・五條。

奈良・五條は吉野川中流沿いに位置し、大阪から紀州や伊勢へ向かう交通の要衝として古くから開けていました。その中心地である五條新町は、慶長13年(1608)に造られた城下町が母体となっています。五條新町の町家は度重なる大火に見舞われたため、防火対策として二階の軒裏まで塗り籠められた重厚な造りが特徴となりました。現在でも江戸時代の町家が73軒も残り、日本でも屈指の古い町並みが残されています。 今回、八嶋さんと牧瀬さんは、時代を遡りながらの町家めぐりとなりました。

最初にやって来たのは「藤岡家住宅」。国登録有形文化財で敷地面積約400坪の名家です。藤岡家の7代目の当主は与謝野晶子や森鴎外と親交のあった俳人・藤岡玉骨(ぎょっこつ)。農村集落の庄屋住宅ですが、両替商、質商、薬種商、紺屋なども営んだことから、通りに面して主屋が建つ町家的な構えを持ちます。主屋は、天保3年(1832)に建てられたもので、庄屋住宅として奥座敷等の離れが大変発達しているのが特徴です。昔は隠居部屋だった座敷の欄間には粋な仕掛けが・・・。

続いて拝見するのは、200年以上前に建てられた「山本家住宅」。五條新町で有数の豪商である造り酒屋です。およそ1700坪ある広大な敷地には、いくつもの酒蔵が立ち並んでいます。敷地内には何と川が流れ、橋を渡して酒蔵を繋ぐという、今では考えられない屋敷構造となっています。大正末期に建てられた離れ座敷には、秘密の仕掛けが満載。知らずに見れば決して気が付くことのない、そんな仕掛けを楽しんだ2人でした。

時代は更に100年前へと遡ります。「中家住宅」は宝永元年(1704)年の建築で奈良県指定文化財。前年にあたる元禄16年(1703)の大火直後に建てられました。本来つし二階には虫小窓がありますが、防火の為中家には窓が一つもありません。防犯にも気を配り、刷揚げ戸と大戸などで、二重三重の対策をとっていました。

そして2人はいよいよ日本最古の町家を訪れました。「栗山家住宅」は国指定重要文化財。慶長12年(1607)の「棟札(むなふだ)」が発見され、年代のわかる民家の中では日本最古。なんと405年前に建てられました。約400年の歴史を持つ建物だけに、江戸時代中期以降の町家とは大きく異なった特徴をもっています。最近の調査により、2列6室の襖で仕切られた開放的な間取りは、かつては壁でふさがれていたことがわかりました。書院造の座敷や床の間などは後世に改修されたもので、それ以前は壁で囲まれた閉鎖的な「ナンド(寝部屋)」だったそうです。栗山家住宅は、町家建築の古式を示すものであると同時に、民家の変遷を知ることができる大変貴重な資料です。家は人の暮らしぶりとともに変るということを実感した2人でした。

今回は、時代とともに変化してゆく町家の歴史に触れた旅でした。