百年名家~築100年の家を訪ねる旅~

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岐阜・飛騨高山 ~旦那衆が支えた城下町~

今回から新しい旅人に牧瀬里穂さんを迎え、新たな旅が始まった『百年名家』。 記念すべき第一弾は、城下町の原風景を色濃く残す、岐阜県・飛騨高山を訪ねます。

飛騨高山は古くから飛騨の政治、経済の中心地として栄えてきました。天正14年(1586)豊臣秀吉の命を受けた飛騨を制圧した金森長近は高山城の築城に合わせて、城下町を造りました。400年以上経った今も、当時のままの区割りが残る町並みには、観光名所として多くの観光客が訪れます。そんな江戸時代そのままの風情が感じられる町並みを、八嶋さん、牧瀬さんの新コンビが巡ります。

一見普通の商店街から旅を始めた2人ですが、とある角を曲がるとそこはいきなり別世界。江戸時代にタイムスリップしたかの様な町家が建ち並んでいます。高山の町家は奥行きの長い、いわゆる鰻の寝床。軒高は統一され、美しい町並みが山まで続くように見えます。よく見ると、多くの町家の二階部分に何やら祠が置いてあります。江戸時代以降、度々大火に見舞われてきた飛騨高山は、町家が密集しているだけに、ひとたび火災が起こると瞬く間に燃え広がってしまいます。そのため火伏の神、秋葉様への信仰が厚く、町の至る所で祠が祀られているのです。

日本有数の観光地である飛騨高山は、ご当地グルメも旅の大きな楽しみの一つです。飛騨のナンバー1グルメといえば、やはり飛騨牛。なんとその飛騨牛を握りにして食べさせてくれる店を発見。早速、珍しい飛騨牛のにぎりを堪能します。

続いて向かった「大野屋」は、大正時代に造られた総二階(そうにかい)の町家です。かつて履物などを扱う店でしたが、現在は茶房に改装して人気を博しています。中に入ると吹き抜けの高い天井がありました。建物が密集して建物内に陽が差し込まないため、主屋の屋根に明かり取り窓を設けているのが高山町家の特徴です。

商人の町を後にして2人が向かったのは「高山陣屋」。陣屋とは江戸時代の役所のことです。飛騨高山は幕府の直轄領だったため、江戸から代官や郡代が直接派遣されて行政や財務などをこの陣屋で行っていました。現在、全国で唯一現存する陣屋の遺構として、観光の人気スポットになっています。番組史上最大と思われる式台、時代劇でお馴染みの御白洲、日本有数の巨大な蔵「御蔵(おんくら)」など、見どころ満載です。

再び町人の町に戻ってきた2人。酒どころとしても有名なこの町で、歴史ある造り酒屋に向かいました。飛騨高山は北アルプスから湧き出る清らかな水と良質な米に恵まれ、酒造りに最適の地とされています。訪れた老舗の蔵元は創業元和(げんな)9年(1623)の老舗。大正2年に店舗は焼失しましたが、幸いなことに酒造りに欠かせない蔵は生き残りました。おかげで、400年の伝統が守られたのです。そこには蔵の内部を火災から守るための、先人たちの驚くべき知恵と固い絆がありました。

3階建ての大蔵を拝見させてもらうと、とてつもなく太い梁が使われていました。これは豪雪に耐えるための工夫。その3階に上がると、そこには立派な神棚が祀られていました。酒はまさに生き物、気候や米の出来具合で、酒の出来も左右されてしまいます。酒造りが始まる秋に、良い酒が出来る様、蔵人全員で神に祈るのです。酒造りの繊細さを知った2人。やはりそのお味が気になります。全国新酒艦評会で金賞を受賞した大吟醸を試飲させて頂くことに。

今回は、旦那衆が支えた城下町の原風景を知った旅でした。