百年名家~築100年の家を訪ねる旅~

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東京 根津・千駄木~文豪の愛したお屋敷町~

今回の『百年名家』は、東京 根津・千駄木。

「谷根千(やねせん)」と呼ばれる谷中・根津・千駄木は、東京でも情緒あふれる地域として知られています。東京大学が近く、川端康成、北原白秋、高村光太郎、夏目漱石、森鴎外など多くの文豪が居を構えていました。今年は森鴎外生誕150年を迎え、11月1日には千駄木に森鴎外記念館もオープンします。

そんな文豪たちの愛した閑静なお屋敷町を八嶋さんと本上さんの二人が巡ります。

最初に訪れたのは千駄木にある「島薗(しまぞの)邸」。脚気とビタミン不足との関係を発見した東大医学部教授島薗順次郎の長男、島薗順雄(のりお)氏が結婚を機に昭和7年に建てた洋風の家です。設計者は旧東京三菱銀行などの銀行建築などで知られる矢部又吉。ドイツ留学の経験がある矢部の設計には、ドイツ風の意匠が随所にみられます。学者の邸宅らしく医学書であふれた書斎もありました。当初、洋館部分は平屋でしたが、昭和16年に2階が増築されて現在の姿になりました。増築された2階のステンドグラスには、当時の社会情勢を反映したかのように戦闘機と戦艦が描かれています。また、女中さんの裏方作業用の小窓や、呼び出し装置など工夫がいっぱい。収納スペースが多い島薗邸の探索を続けるうちに、八嶋さんは押し入れの中から古いゲームを発見。昔ならではのゲームに夢中になる2人でした。

次に向かったのは千駄木を代表とする大邸宅、「旧安田楠雄邸」。旧安田邸は、大正8年建築の近代和風住宅で、在来建築技術と西洋建築技術を融合させて建てられました。1998年には東京都から名勝として文化財指定を受けています。もともとは豊島園遊園地の創始者である実業家の藤田好三郎氏が建てた家でしたが、その後安田家が譲り受け、安田財閥の創始者安田善次郎の孫にあたる安田楠雄氏の住居として長い間使われました。楠雄氏が亡くなられたあと、歴史ある建物を文化財として保存活用するために、平成8年に日本ナショナルトラストに寄贈されました。戦時中、アメリカ軍による空襲にも焼け残ったこの家には、当時の社会情勢を偲ばせる意外なものが隠されていました。それは防空壕。その入り口は、なんと客間の畳の下。今回は特別に畳をあげて中を拝見させていただきました。他にも広い台所や眺望の良い二階の客間など、広い敷地内には日本を代表する旧財閥の家らしく凝った意匠が数多く見られて、二人は驚きの連続でした。

最後に根津にある串揚げのお店「はん亭 根津」を訪れました。はん亭は大正6年の建築で、木造3階建て。文化庁指定登録有形文化財の店内中央には、なんと土蔵が!この蔵は明治40年に建てられたもので、もともと外蔵だったものを大正期に建てた三階建て部分と連結させ現在の内蔵になりました。2人はスカイツリーが望める3階席で名物の串揚げを堪能。新旧の混ざり合った贅沢な空間がそこにはありました。

今回は、大都会の歴史町に息づく名家の重厚さに心を打たれた旅でした。