百年名家~築100年の家を訪ねる旅~

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三重・関宿 ~東海道五十三次への時間旅行~

今回の『百年名家』は、三重・関宿。

関宿は、かつて東海道五十三次の47番目の宿場町として栄えた町。江戸時代後期から明治時代にかけて建てられた町屋が200棟以上も現存し、東海道の中でも唯一、当時の街並みが保存されています。昭和59年には国の「重要伝統的建造物群保存地区」に選定され、その二年後には「日本の道100選」にも選ばれています。 そんな歌川広重の浮世絵に描かれた町並みを、八嶋さんと本上さんの二人が巡ります。

最初に目に入ったのは軒下に置かれた木看板。これは「庵(いおり)看板」といい、江戸側から見ると平仮名、京都側から見ると漢字で書かれています。旅人がこの看板を見れば、旅する方向がわかるという便利な仕掛け。約370年前から代々続く皇族御用達の和菓子屋「深川屋 陸奥大椽(ふかがわや むつだいじょう)」の銘菓「関の戸」は、京都御所より陸奥大椽の官位を賜ったという由緒あるお菓子で、店内には、御用達商人の証でもあった「関所御免」の前掛け付き裃や、「御室御所御用所 関の戸 服部陸奥大掾」と書かれた総螺鈿(らでん)の菓子箱などの貴重な品々が展示されています。老舗の商家ならではのお宝に目を丸くする2人でした。

次に向かったのは関宿を代表する大旅籠「玉屋」。現在は、江戸時代の貴重な旅籠建築として保存され、歴史資料館として公開されています。内部には、当時使われていた道具や庶民の旅に関係する歴史資料、歌川広重の浮世絵などが展示されています。関宿の建物は戸袋が建具の上にあるのが特徴で、これは当時間口の幅に対して税が掛けられていたため、狭い間口を出来るだけ有効に使うために考えられたものだとか。
また、土間には足を洗う桶も置いてあり、江戸時代の旅人風情に浸れます。裕福な宿泊客用の部屋には「離れ」も用意されているほど豪華なものでしたが、一般客用の部屋は板の間の大広間で、宿泊客は雑魚寝をしていたそうです。

突然の豪雨に見舞われた今回の旅。雨宿りで駆け込んだ築120年の「石垣屋」は、現代の旅人が全国から集まる宿です。相部屋の素泊まりもある昔ながらの旅籠で出会った青年は、なんと北海道の宗谷岬から、徒歩で日本縦断の旅をしている最中でした。「旅は道連れ、世は情け」。現在も引き継がれる良き旅籠文化に触れた二人でした。

最後に訪れたのは、築200年の古民家を素敵な空間として再利用している「ナガヲ薬局 カフェ綾羽(あやは)」。
大正時代には祖父母が薬局を営み、孫にあたる現在のご主人は、かつての薬局の面影を残しつつ、カフェ・ギャラリーとして再利用。健康茶を中心にしたメニューは、まさに元薬局ならでは。さらにインテリアには、大正の時代を想わせるレトロな骨董品がレイアウトされていて、本当に素敵な空間が広がっていました。

未来へと続く、町並み保存の楽しみ方を知った旅でした。