百年名家~築100年の家を訪ねる旅~

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白川郷・五箇山 ~世界遺産 合掌集落の旅~

今回の『百年名家』は、世界文化遺産「白川郷・五箇山合掌造り集落」。

1930年代、日本の主要な建築物を見て回っていたドイツの建築家ブルーノ・タウトは、白川村を訪れ「これらの家屋は合理的で論理的であり、まったく独特の存在である」と高く評価し、その著書『日本美の再発見』で、合掌造りが世界に知られることとなった。そして平成7年12月、岐阜県白川村 (白川郷)と富山県上平村菅沼・平村相倉(五箇山)の3集落が世界文化遺産に登録されました。

そんな日本が世界に誇る"山里の原風景"を八嶋さんと本上さんが巡ります。

まず2人は、昭和10年にタウトが初めて訪れたという白川郷の「旧遠山家」に向かいました。渓谷の緑深い環境にしっくりと調和したこの住宅は、かつての大家族制度を偲ばせる壮大な規模と風格を誇っています。現在の建物は文化10年(1813)頃に建てられた築200年の建物で、木造4階建で1階は居住空間、2階は「あま」と呼ばれる養蚕や穀物を干す場所として使用されました。また、最上階は「てんこあま」と呼ばれ最盛期には明治30年代後半から大正初期まで40人以上の大家族が住んでいたそうです。
ここで2人は基本的な合掌造りの構造を学びます。茅葺の屋根部分は4~5階の高さになるものもあり、 60度近い急勾配の傾斜は冬の豪雪に対応するための造りで、「結い(ゆい)」と呼ばれる村民たちの共同作業によって短期間で造られるという。なんとも合理的な合掌造りの構造に感心させられる2人でした。

合掌造りについて学んだ後、2人は荻町集落へ。この地区には114棟の合掌造りの建物が建ち並びそのうち109棟が伝統的建造物に指定されています。
2人はこの集落最大規模で、今も生活が営まれている「和田家」を訪れました。穏やかな田園風景の中に建つ「和田家」は江戸時代に名主や番所役人を務めるとともに、白川郷の重要な現金収入源であった焔硝の取引によって栄えた家。その製造場所として合掌造りの床下が利用されていました。

白川郷を後にした2人は、もう1つの世界遺産・五箇山に向かいました。ここでは菅沼集落と相倉集落の二つの集落が世界遺産に登録されています。二つの集落のちょうど真ん中に位置する「村上家」が三軒目の訪問先。
  約400年前の建築当時の様式を今に伝える貴重な合掌造り家屋で、五箇山地方の伝統を今に残している建造物です。塩硝製造や和紙製造等の民族資料数千点を陳列しており、五箇山の生活史をつぶさに見ることができます。
同じ合掌造りの集落でありながら、白川郷の合掌造りと大きな違いがあることを知り感心する2人に、ご主人が五箇山に伝わる日本で最も古い民謡「こきりこ節」を聞かせてくれました。
「築子(こきりこ)」というのは合掌造りの天井に使われている竹のことでで、今も五箇山に伝承されています。 囲炉裏端の香りと漆黒の梁に囲まれながら、ご主人の歌声とこきりこの響きに心が癒される2人でした。

日本が誇る合理的で優れた建築技術と、そこで受け継がれる生活様式を学んだ旅でした。