百年名家~築100年の家を訪ねる旅~
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いきた重要文化財に出会う旅 ~いにしえの心を結ぶ 神奈川相模原~
今回の『百年名家』は神奈川・相模原。
相模湖周辺は江戸時代には江戸と甲府を結ぶ甲州街道の宿場町として栄え、蚕を育てる養蚕が盛んだった場所です。
当時の面影が残った山間の集落をいつものコンビ、八嶋さんと本上さんが巡ります。
まず、2人がやってきたのは吉野の宿の中心部、大名や旗本がとまる本陣があった場所。
明治9年にここに木造の五層楼という大変珍しい建物が建てられ、明治天皇が甲州街道行幸の際、この建物の2階で昼食をとったと言われています。
現在、五層楼は焼け落ちて隣接する土蔵のみが残っています。
ここから2人の旅が始まります。
案内人の紹介で次に2人が向かったのは、この付近で一番古い住宅である石井家住宅。
宝永の富士山の大噴火が起きた1707年に建てられ、国の重要文化財に指定されています。棟上げの時に大量の火山灰が材木の上に降り積もったと伝えられ、実際に火鉢の中に当時の火山灰がありました。
身分の高い人を迎える時にしか使わない式台玄関や家一軒の価値と言われた一間半もある檜の一枚板の床板に2人は興味津々。二階や三階はかつて養蚕に使っていた道具がそのまま残っていました。まさに生きている重要文化財民家です。
石井家を後にした2人は静かに流れる清流のほとりに建つ古民家を訪れます。
そこには100年以上昔の古民家を改装して、男の隠れ家のようなスペースを作ってしまったアーティストのお宅がありました。その名も「水眠亭」。
江戸末期に建てられ、長い間廃屋となっていた民家に17年前に移り住み、友人と二人で改装を続け今なおリフォーム中という、相模原の古民家版サクラダ・ファミリアともいうべき住宅です。
不思議な空間に目を奪われる2人。
古民家の素晴らしい材木をそのまま用い、手を加えながら使い続けていくことで古い建物を大切にしているご主人でした。
今回の旅はいにしえの伝統をつなぐ人々の、心の旅でした。