百年名家~築100年の家を訪ねる旅~
バックナンバー
知られざる古都を散歩 ~小津安二郎が愛した街 鎌倉~
今回の『百年名家』は、鎌倉。観光シーズン真っ盛りのこの季節、海と緑に囲まれた鎌倉は今も昔も人気のスポットです。
源頼朝によって幕府が置かれた鎌倉は、歴史ある神社仏閣の古都として世界的に有名です。しかしその一方で、明治から昭和にかけて保養地・別荘地として発展し、多くの文化人が古都 鎌倉の風情を求め居を構えたことはあまり知られていません。日本映画界の巨匠 小津安二郎も鎌倉を愛した文化人の一人で、この地を舞台に『麦秋』『晩秋』等の不朽の名画が生み出されました。それらの作品には、古き良き鎌倉の映像が映しだされています。
そこでまず最初に八嶋さんと本上さんが訪れたのは、小津安二郎監督とも親交が深かった作家 里見弴の住宅。大正15年、自ら設計に携わった建物は洋館と和館がつながった和洋折衷の珍しい住宅です。洋館は帝国ホテルを設計した建築家 ライト風のデザインが取り入れられたモダンな建物。一方和風の別棟は里見弴の書斎として作られたもので、高床式の茅葺き数寄屋造り風という、見たこともない独創的な建物です。里見弴のこだわりが随所に見られ、八嶋さんも本上さんも大興奮!
じつは里見弴の四男は小津作品のプロデューサーを務めていた山内静夫さん。小さい頃までこの里見家で育ちました。生家にお越しいただいて小津安二郎にまつわる驚くべき秘話を伺います。お話を伺ううちに、鎌倉は多くの文化人が集った場所であり、その交流を通して次々と日本を代表する作品が生み出された聖地であることを知ります。
その鎌倉もほとんどの家は関東大震災で倒壊しました。現在ある古いお宅のほとんどは震災以後に立てられたものです。そこで旅を続ける二人は、鎌倉にわずかに残る江戸時代の古民家を訪ねます。そのお宅は江戸後期に建てられた成瀬家住宅。ここが鎌倉かと思うような鎌倉石の石積みや茅葺き屋根の建物。そして家を包みこむ斜面緑地が一体となって創りだす見事な景観…そこには、かつての映画監督や文豪たちの郷愁を誘った鎌倉の原風景がありました。現在成瀬家では、気さくな12代目当主と明るい奥様が、完全予約制で一日昼夜一組限定で会席料理を提供しています。
成瀬家の貴重な文化財とともにおいしい会席料理に舌鼓を打つ二人は、鎌倉の旅を満喫します。
その他、若宮大路の沿道で明治33年創業の三河屋本店では、昔ながらのトロッコを発見。実はこのトロッコ、今も現役で商品の運搬に使われています。二人はトロッコに乗せてもらって大はしゃぎ!
また、鎌倉彫の名店 寸松堂(すんしょうどう)では、鎌倉彫に挑戦。二人が作った作品の出来栄えはいかに!?
歴史と文化が薫る鎌倉の旅でした。