うたの旅人

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初回放送:2011年5月17日「見上げてごらん夜の星を」


日本が真珠湾を奇襲し太平洋戦争が始まった、その二日後、川崎市の料理屋で一人の男の子が産声をあげた。本名、大島九(ヒサシ)、後に超ビッグシンガーとなる坂本九その人。

九ちゃんと言えば世界的に大ヒットし、今また大震災で被害に遭われた人たちを勇気づけるメッセージソングとしても蘇った「上を向いて歩こう」が有名だが、もう一曲、さまざまな意味で多くの恵まれない人たちへの鎮魂歌となっているのが「見上げてごらん夜の星を」なのだ。

  昭和38年(1963年)に発売されたこの歌は、元々、定時制高校を舞台にしたミュージカルの劇中主題歌であった。
「上を向いて歩こう」と同様に、高度成長期の日本、主に東北地方から集団就職で上京した当時の若者たちが主人公のミュージカル。とりわけ、定時制高校に通いながら、苦しいときには故郷を思い出して、明日への希望につなげた心情が歌詞に生かされているのである。

番組では、意外に知られていない九ちゃんの障害者施設などでのボランティア活動なども取材し、この歌がなぜ、これほど多くの人たちの胸を打つのかを検証する。

様々な喜びと苦しみ、希望と絶望の狭間に生きている私たちに、

♪見上げてごらん 夜の星を
 ぼくらのように 名もない星が
 ささやかな幸せを 祈ってる

 手をつなごう ぼくと
 追いかけよう 夢を
 二人なら 苦しくなんかないさ

と、やさしく歌いかける九ちゃん。

この歌を口ずさみながら、思わず涙した人も多いことだろう。

幸せの涙、希望の涙、勇気の涙。
夜空に輝く美しい星たちとともに、"歌の持つ力"と九ちゃんの愛のメッセージをお届けします。