ベストヒット USA

  • トップページ
  • バックナンバー

バックナンバー

【2010年10月5日】PHIL COLLINS

芸能活動の出発点は映画や舞台の子役。音楽活動は69年からアート・ロック・バンドのフレイミング・ユースで。70年ジェネシスに参加。81年『夜の囁き』でソロ・デビュー。鼻にかかったハスキーな歌声と、ポップに徹した作品作りとコマーシャルなロック・サウンドで着々と成果をあげる。82年の「恋はあせらず」から順調にヒットを連発。2002年には左耳に閉塞感を覚え突発性難聴と診断されるが、2007年ジェネシスを再結成し、ヨーロッパ、アメリカを回るツアーを敢行、卓越したドラムテクニックを披露。しかし2008年表舞台からの引退を表明。来年1月30日に還暦を迎えるフィル・コリンズは難病を乗り越え軌跡の復活を果たし実に8年ぶりのスタジオ・アルバム『GOING BACK』をリリース。アメリカでベストヒットUSAのインタビューに応えてくれた。

今回紹介するのは8年ぶりの最新スタジオ・アルバムでありモータウン・サウンド中心のカヴァー・アルバム『GOING BACK』の1stシングルでマーサ&ザ・ヴァンデラスのカヴァー曲「Heat Wave」。


インタビュー

Q:全曲が、あなたが子供の頃から好きだったモータウンの曲ですか?

P: 全部がモータウンではなくて、3,4曲はモータウンに所属していないソングライターの曲も入っているんだ。カーティス・メイフィールド・アンド・ザ・インプレッションズ、ロネッツ、ダスティ・スプリングフィールドはモータウンのアーティストじゃないので、 「モータウン・アルバム」とは呼べないけど、どの曲も、私が10代のときに聴いていた思い入れのある曲ばかりなんだ。

Q:左耳の難聴になってしまったと思いますが、耳の調子はどうですか?

P: レコーディングに支障はなかったよ。今は、一つのスピーカーから音を聴いているような状態なんだ(笑)。それは冗談だからね(笑)。初めて左耳が難聴になったとき、本当に戸惑ったよ。実は、難聴になったときはロサンジェルスにいたんだ。ある晩、突然耳が聞こえなくなって、またしばらくすると聴覚が戻ったんだ。でもその後に、また聞こえなくなった。一時的なものだと思ったけど、結局ずっと聞こえないままだった。数日後にスイスに戻ってきて、ISDN回線でミックスを聴いて確認作業をしなければいけなかった。でも、私にはちゃんと音楽を聴くことができなかった。私はスタッフに、「ちゃんと聞こえないから、何も言えない」と言うしかなかった。とても奇妙な体験だった。今は、脳が難聴の状態に慣れて、問題はないんだ。左耳は、難聴のまままだけどね。脳というのは本当に素晴らしいもので、難聴の状態に合わせて調整してくれるから、昔のように聞こえる感覚になるんだ。 昔のように音が聞こえるように、脳が調整してくれたんだ。 例えば、騒音が多いレストランのように、音量がとても大きい場所にいると、耳が痛んだり、問題がおきることはある。 みんなが大声で同時に話していると、会話を聞き取るのが難しい。ステージでバンドの演奏の音量が大きすぎると、音程を見つけるのが難しくなる。実は、ステージで何度かそれで恥ずかしい思いをしたことがあるんだ。オーディエンスがバンドよりうるさいこともあるんだ。オーディエンスが口笛を吹いたり、叫んだりすると、ちゃんと聞こえなくなって、ピアノの音程が分からなくなる。でも90%の場合は、支障なく生活を送っているよ。