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【2009年 3月24日】FALL OUT BOY

出演ゲスト
FALL OUT BOY

Rolling Stones誌で「注目すべき10アーティスト」に名を連ねたシカゴ出身の4人組パンク・ロックバンド。アルバム『インフィニティ・オン・ハイ -星月夜』は全米初登場1位になるなど今や世界中で大人気、全世界の音楽シーンに強烈なインパクトを与えているFALL OUT BOY。

「America's Suitehearts」

アルバム「FOLIE A DEUX/フォリ・ア・ドゥ-FOB狂想曲」はアメリカの社会への風刺の意味を込めている。敬愛するアーティストエルビス・コステロやブロンディのデボラ・ハリーなど豪華アーティストとコラボレートしたアルバムからの2ndシングル「America's Suitehearts」。FOBならではのポップで美しいメロディーラインが印象的な曲。


インタビュー

Q:ライヴでの日本のファンの反応はどうでしたか?

素晴らしかったよ。今回の来日公演は、今までで最高のショーだったと思う。オーディエンスは完璧だし、サウンドも素晴らしかった。僕らの演奏も息がピッタリ合って、すべてが最高の形で実を結んだ感じだね。ミュージシャンたちは「最高のショーだった!」とよく口にするけど、今回のツアーは僕らにとって正真正銘のベスト・ライヴだと言えるよ。

Q:それは"今までの日本公演の中で"ということ?

いや、キャリアを通じてだ。
そうさ。ファンはすべての曲を知っていて、コラース部分を口ずさんでくれたりした。本当に細かいところまで浸透している感じだったよ。
オーディエンス、タイミング、会場、照明やサウンドの技術面など、あらゆる要素がベストの状態で、それら最高の要素が見事に集結した結果、パーフェクトなショーになったんだと思う。

Q:"最高のバンド"というのも要素では?

まあ、そうだね。

Q:日本公演は初めてではないので、曲間の静けさにはもう驚きませんよね?

それも今回は違っていたよ。静けさどころか、今まで見たこともないようなクレイジーな観客だった。彼らは曲の合間も大声を出していたし、普段は静かな日本の観客とまったく違ってた。
確かに。
何かが違ってたよ。
理由はわからないけど、とにかく…
良かった。
最高だったよ。曲間の静けさもなかったしね。

Q:アルバムについてうかがいます。フランス語のタイトルが付いていますが、フランス語が話せるんですか?

いや、話せない。あまりね。

Q:では、なぜフランス語のタイトルを?

※以下の黄色部分に関して: パトリックはここで以下(黄色)の内容まで言及していませんが、ネットで検索したところ、Folie A Deuxは「2人組精神病」と訳されているもので、共同生活を送る2人のうちの片方が妄想癖などの精神疾患があった場合、正常だったはずのもう片方の人間にも同様の精神障害が出始めるといった心理学的症例を指したものとのこと。

(Folie A Deuxというのは)フランス語の専門用語で、「2人組精神病」と呼ばれる症例を指したものだ。アメリカでは1900年代初頭に使われるようになった言葉で…
心理学の用語だ。
そのとおり。でもフランスでは使われたことがない言葉だと思う。
フランス人は意味を理解できないと思うよ。
アメリカの心理学では知られた用語で、共同生活を送っている2人の人間がそれぞれ精神障害を発症していた場合、その症状は倍増してより危険な状態に陥るという傾向を指している。つまり、個別のパーツが組み合わさることで、より大きな力を持った脅威に変化するということだよ。僕らがこの用語を使ったのは、人々がアメリカ文化と関わり合うことで、自らを"精神障害者へと追い込んでる"という比喩で表現したかったからなんだ。アメリカ社会を見渡してみると、人々は車メーカーの戦略やテレビCMに操られ、どんどん大きな車に乗るようになってしまった。車は飽くまでも1つの例であって、モノに限らずすべてにおいて"異常"な流れになってるように思う。人々はバカげたリアリティー番組にクギ付けになり、番組で優勝したら結婚もできて金持ちにもなれるという概念を植え付けられてる。そんなのは常軌を逸っしているけれど、そういう番組を見たいという視聴者と、カネ儲けのために番組を制作する側とが、相乗効果によって状況をエスカレートさせているんだ。今回のタイトル、そういうアメリカの今を揶揄したものだよ。説明が長くなって申し訳ないけど、アルバム・タイトルが意味するものは、社会やアメリカ文化に対する風刺ってことだね。

Q:興味深いですね。だから、熊が熊を背負っているジャケットなんですね?

そうだよ。

Q:アルバムには数多くのゲストが参加していますが、レコーディングの際のエピソードがあれば教えてください。

あまりないね。ゲストとは、同じスタジオで密に作業したわけじゃないから。
ほとんどの場合はね。

Q:ネット経由でコラボを?

そう、大半はネット経由だった。でもPanic At The Discoのブレンドンは僕らの親友で、LAからそれほど遠くない場所に住んでいたので直接顔を合わせたよ。彼の家はLAとラスヴェガスの間にあって、たまにマリブまで来ることも知ってた。だからあるとき会いに行って、アルバムへの参加を取りつけピアノを弾いてもらったんだ。それにフェレル(・ウィリアムス)とも長いこと話し合った末、彼が街に来た時に一緒にスタジオに入ってレコーディングをした。でもそれ以外のアーティストとは、ネット経由でのコラボだったよ。そのやり方のほうが正解だったと思える例もあって、エルヴィス・コステロはまさにその1人だった。彼は僕のヒーローだけど、人となりについてはまったく知らなかったんだ。彼の音楽は好きだけど、どういう人間かまでは知りたくなかったのでネット経由のコラボは正解だったね。決して失礼な意味ではなく、彼の個人的なことにまで踏み込みたくなかったし、音楽だけを通じて関わっているほうが、よりピュアな気持ちで作品に耳を傾けられる。彼のパフォーマンスは大好きだけど、直接会って「大ファンです!あなたの作品は素晴らしい」なんて会話をするのはイヤだったんだ。尊敬していても、そこまでするのは気が引けたし。デボラ・ハリーの場合も、まったく同じだった。それからリル・ウェインは僕らの友人だけど、居る世界がまったく違う感じだったかな。彼は独自の道を歩んでいるアーティストだからね。そんなわけで、彼と顔を合わせてコラボしても、しっくりいかない気がしたんだ。それで距離を置いてネット経由でコラボをした。

Q:なるほど、面白い話ですね。ところで、前作の時とは音楽的なアプローチの方法や制作過程は変わりましたか?

今回は短期間に制作するよう自分たちを追い込み、約1ヶ月ですべてを完成させた。でも前作の時は、だいたい6ヶ月くらいだったかな? 6ヶ月~7ヶ月ほどだったと思う。期間はオープンに設定してたよ。
すべてに関してね。
でも今回のアルバムは、1ヶ月半程度しか費やしていない。そのお陰で瞬発力が養われたというか、目的に向って全員が一丸となって、表現したいことを作品に盛り込むことができたと思う。迷ったり考え直したりする暇もなく、最初に思いついたことをそのまま表現したんだ。だからこそ、前作よりも強力な作品になったと思う。昨日も食事の時にこんな話をしていたんだけど、今回のアルバムには本当に満足しているよ。僕らのお気に入りの作品なのは間違いない。

Q:シングルの「American Sweetheart」はどんな曲ですか?

この曲もアルバム・タイトルと同様、アメリカ文化に対する風刺なんだ。こういう風に話をしている時、僕は至ってシリアスなトーンで語っているけど、僕らの間ではユーモアを自分たちの表現方法としてよく使っている。笑い飛ばすしかないって事が、世の中にはたくさんあり過ぎるからだ。これはそんな曲の1つで、ビデオもいろいろ面白い要素が盛り込まれている。でも「I Don't Care」のビデオのストレートな面白さとは違って、この曲のビデオはもっと風刺的な要素が盛り込まれていて、セレブや文化が及ぼす影響力に関しての"おバカ加減"を題材にしている。この曲のことを、"セレブがいかに人々に影響を与えているのか"を歌ったものだと思っている人も多いようだけど、実際はそうじゃない。この曲が伝えているのは、"セレブが世の中にどんな影響を与えているか?"とか、"オバマがどんな犬を飼うのか?"とか、そんな下らないネタばかりの世の中についてなんだ。犬の種類なんて、オバマの政治運営とはまったく関係ないのにね。

<インタビュアーさん:確かに。でも、犬は決まったんですかね?>

そうだよ!ニュースをチェックしなくちゃ。シュナウザーかも。

<インタビュアーさん:本当に?>

いや、冗談だよ。

Q:お2人とも、家を建てているそうですね?

そうだよ。今、設計している段階だ。
なんで知ってるの?

<インタビュアーさん: ちょっと理由があって…>

Q:完成までには、どの位かかりそうですか?

まだ取り掛ってもいないよ。実は設計をやり直したところなんだ。だから僕の家は、3月あたりに着工かな。
僕の場合は順調に進行中だけど、完成時期はまだわからない。でもソーラー・パネルを取り付けるので、今からすごく楽しみだ。環境に優しい要素をいろいろと取り入れた家にしたいと思ってるよ。

Q:それは楽しみですね。あとは犬を飼うとか?

そうだね、検討しないと。

Q:では、変わった質問を2つほど。体の1ヶ所を替えられるとしたら、どこを替えたいですか?

かなりミョーな質問だな。
僕は特に思い浮かばない。

Q:今のままでOK?

1ヶ所だけ替えるというのは、すごくヘンな感じだし。
確かに。体の1ヶ所を替えるのは、かなり困惑するね。どうかな…
僕は答えられない。
前歯の隙間を無くしたいかな。嫌いなんだ
僕は満足してる。
僕はイヤだ。矯正具を付けたけど、治らなかった。アップは撮らないで。
僕は今までに、何かになりたいと考えたことがないんだ。「もしメンバーになれるなら、どのバンドがいい?」とか聞かれても、「自分は自分だから」と思った。もし何かに変わりたいと答えたら、自分の人生を裏切るような気がするからね。

Q:もし十分なお金と時間を与えられたら、どこで何をしたいですか?

もっと日本で過ごしたいね。

<インタビュアーさん:本当に?>

僕らは日本が大好きなんだ。現時点、僕らのほとんどは仕事絡みじゃない休暇というのが取れていないので、是非もっと日本で自由な時間を過ごしたい。でもお金は特に関係ないかな。君はどう? 僕も大して変わらないよ。お金があったとしても、バンドの一員としてツアーをやっていたい。でも、もっと友人や家族と時間を過ごすと思う。
僕は、ブラジルの熱帯雨林を買い取った大富豪みたいになりたいな。単に自然を守るための行動で、僕も世界のためにお金を使って、熱帯雨林を買ったり、エコロジー関連に費やしたい。地球を守るためにお金を使うんだ。
僕も同じだ。それから広い土地を買い取って、友達に住まいを提供したい。
それに、『Fortune』誌に選ばれたアメリカの上位500社をすべて買い取って、重役たちのサラリーをカットしたいね。

Q:では、日本のファンにメッセージを。

日本の皆、フォール・アウト・ボーイだ。
皆、愛してるよ。アリガトウゴザイマス。
アリガトウ。