ハイラム・ビンガム号~インカ帝国の古都クスコと謎の空中都市マチュピチュの旅
南米・ペルーの二大観光地、インカ帝国の古都クスコと、“謎の空中都市”の異名を持つマチュピチュを結ぶ高原列車の旅を紹介する。

1911年、南米大陸ペルーの山中で、アメリカ合衆国の探検家・ハイラム・ビンガムの一行が、スペイン人により滅ぼされたインカ帝国の遺跡“マチュピチュ”を発見する。標高2400メートルの山の尾根に造られた謎の都市と、そこへ列車で向かう様子を伝える。列車の名前は、ハイラム・ビンガム号。アンデス山脈の高地に位置するクスコからアグアス・カリエンテス駅まで向かう豪華な列車だ。

インカ帝国にスペイン人・ピサロが初めて攻め入ったのは、1532年。クスコの町は誰もが目を見張るほど美しく、建築物は見事で、道も方々へ張り巡らされている。現在のクスコにある建物の多くは、インカ人がつくった石組みの上に、スペイン人が作り直した部分が乗っているというもの。

ビンガム号の食堂車では、乗客がそこで提供される多彩なペルー料理に舌鼓を打つ。ペルーに鉄道が敷かれた経緯が語られ、マチュピチュのホテル“サンクチュアリ・ロッジ”の様子も紹介される。

マチュピチュが造られた目的は明らかになっていないが、有力説を組み合わせて、「パチャクティ皇帝によってつくられ、インカ道を歩く巡礼の目的地になった。居住者は段々畑で農業を行っていた。」と考えられている。 マチュピチュの美しさを称え、この地への旅は精神世界の旅路だと本エピソードでは締めくくる。
マチュピチュ
ハイラム・ビンガム号 内部

エンパイア・ビルダー号~シアトル=シカゴ3500キロ横断・ダイナミックな旅
アメリカ横断鉄道・アムトラック。アムトラック“エンパイア・ビルダー号”は、アメリカの鉄道のパイオニア、ジェイムズ・ジェローム・ヒルのニックネームからその名をつけられた、もっとも北のルート、シアトル~シカゴ間を走る大陸横断鉄道である。

北西部の太平洋岸の大都市、ワシントン州シアトルを出発した列車は、ロッキー山脈へと進む。モンタナ州でもっとも美しいグレイシャー国立公園に入り、ロッキー山脈分水嶺のマライアス峠を過ぎると、モンタナとノース・ダコタの果てしない大平原へと景色が変わっていく。ミネソタ州セント・ポールとミネアポリスからはミシシッピ川を南下して、ウィスコンシン州を通り、目的地、中西部の大都市シカゴへと到着する。

客車や食堂車、パノラマ・ビューが楽しめる展望車など列車内の様子や、通り過ぎる駅、土地、街の歴史、および観光名所も紹介。穀倉地帯の田園風景から断崖まで、変化に富んだ景色が楽しめる旅だ。

19世紀はじめ、イリノイ州からロッキー山脈を越えて太平洋への道を拓いたルイス・クラーク探険隊や、19世紀末厳しい自然条件や地形のハンディを克服してこのルートに鉄道を敷設した“エンパイア・ビルダー”ジェイムズ・ジェローム・ヒルの偉業にも触れる。
エンパイア・ビルダー号