建物遺産~重要文化財を訪ねて~

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臥龍山荘

この建物は、木蝋貿易に成功した河内寅次郎が老後の住まいとして、肱川(ひじかわ)を望む景勝地に建てた別荘。臥龍院は、松皮菱の花頭窓など桂離宮を始めとする名建築に着想を得た細部意匠をもつ茅葺屋根の建物。不老庵は、肱川を見下ろす崖地に懸造(かけづくり)で張りだす、茅葺の小庵(茶室)。庵そのものを船に見立てて造り、天井は竹網代1枚張りを船底の形にしている。この地を「臥龍」と命名したのは、大洲藩3代目藩主・加藤泰恒が「蓬莱山が龍の臥す姿に似ている」ことから名付けたと言われている。臥龍山荘の各建物は、吟味された材料と熟練の技術により細部に至るまで独創的な数奇屋の意匠でまとめ上げられていて、四国地方における近代数奇屋建築の優品と言える。