建物遺産~重要文化財を訪ねて~

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旧花田家番屋

この建物は明治38年頃、道内屈指の鰊漁家・花田伝作が建てた、親方(花田伝作)と漁夫たちが漁期の間寝食を共にする番屋である。鰊漁最盛期には約200名を収容した。間口40m 奥行20mと道内に現存する番屋では最大規模を有している。内部は西向きの玄関から奥に「にわ」と呼ばれる土間を通し、北側に親方の居住部分、南側に漁夫の生活部分を設けた。漁夫が使う広い板敷きの居間は、囲炉裏が三つ、太い柱や巨材を豊富に用いた梁組のある豪壮な吹抜けの空間。その周りに漁夫たちの寝台(ねだい)がある。親方の居住部は畳敷きで、客間や仏間、金庫の間など多数の部屋が配された。北海道に残る大型鰊漁場建築で、最盛期の鰊漁を物語る数少ない遺構である。