建物遺産~重要文化財を訪ねて~
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旧呉鎮守府司令長官官舎(呉市入船山記念館)
英国気風を好んだ海軍の官舎。設計は、桜井小太郎。桜井は、東京帝大工科大学校造家学科の選科生時、コンドルの事務所で建築実務を学んだ。英国ロンドン大学に留学し、日本人初の英国公認建築士となる。帰国後、海軍技師となり、呉鎮守府に赴任した。建物は洋館と和館があり、洋館はハーフ・ティンバーを採用した英国風の建物で接客の場とし、和館は私的な生活の場とした。洋館の客室には絨毯が敷き詰められ、壁は花木を描いた金色の金唐革紙が張られた。客室と連続する食堂にも金唐革紙が張られ、床は黒い木材を雷文(いかずちもん)に組んだ寄せ木張りである。戦後は駐留英連邦軍の官舎として使用され、昭和42年(1967)大蔵省から呉市に譲渡、平成7年(1995)に改修後、一般公開された。