建物遺産~重要文化財を訪ねて~
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旧小寺家厩舎
神戸の大地主・小寺泰次郎邸内の厩舎として建築された。L字形の洋風建築で、1階が煉瓦造、2階がハーフティンバーの木骨煉瓦造。1階西側は馬車庫、東側は馬房として造られた。馬房は実際には厩舎として使用されず、当時は特別な乗り物であった自動車の車庫として使われたと伝えられている。2階は馬丁や御者の宿泊室、馬糧倉庫。西側には廻り階段室の円形塔屋が配され、東側の屋根には換気用越屋根が重ねられた。設計は「河合浩蔵」。工部大学校卒業後、政府の技術者として司法省庁舎(現・法務省旧本館)の設計に従事し、その後、神戸で設計事務所を開設。敷地6000坪を超える小寺邸は昭和16年(1941)に神戸市に売却され、「相楽園」として整備、現在に至っている。