建物遺産~重要文化財を訪ねて~
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旧帝国京都博物館[現・京都国立博物館]
明治中期、東京(明治22)、奈良(明治27)に継いで明治28年に完成し、明治30年に開館。設計は、宮内省内匠寮の「片山東熊(1853-1917)」。辰野金吾らと同じ工部大学校1期生であり、英国人建築家「ジョサイア・コンドル」から正統なヨーロッパ流建築を学んだ最初の日本人建築家である。建物は、煉瓦造、1階建。当時2階、3階建で計画されていたらしいが、設計中に濃尾大地震(明治24年)が起り、平屋建に変更された。基礎工事にあたっては防湿対策として多量の木炭を敷地全面に埋め込んだ。ガラス・セメントはドイツ製、石材は伊豆大島の沢田石と最高品を使用。正面中央には大きなペディメント(妻飾り)のレリーーフは、「技芸天女(ぎげいてんにょ・芸能、意匠の神)」と「昆首羯摩(びしゅかつま:彫刻の祖神)」。正面表門、袖塀も創建当初の景観をよく伝えており、明治中期における貴重な遺構である。(公開:月曜休館、月曜が祝日の際は翌日。有料)