建物遺産~重要文化財を訪ねて~
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旧遠江国報徳社公会堂(現・大日本報徳社大講堂)
この建物は、報徳運動の拠点として明治36年に建設された。木造2階建、漆喰塗りの外壁、洋風の丸みのある窓等、和洋折衷の建物。内部は周囲に投下をめぐらし、1階は81畳の大広間、正面に演題が設けられている。2階は吹き抜け、洋風の造りで周囲がギャラリー(観覧席)になっている。静岡県教育委員会が所管する特例社団法人の「大日本報徳社」の大講堂として現在も報徳精神の普及に大きな役割を果たしている。報徳思想とは、小田原藩家老家の財政改革や農村復興運動を指揮した「二宮尊徳」が自身の思想を体系化したもの。四つの柱があり、「至誠(まごころをもって事にあたる)」 「勤労(小さいことを怠らず、つつましく勤める)」 「分度(適量・適度)」 「推譲(譲る心)」という言葉で表している。全国に社団法人として「報徳社」が設置され、二宮尊徳の弟子・岡田佐平治が明治31年に設立した「遠江国報徳社」を起源とする「大日本報徳社」がその最上組織と位置付けられている。