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2011年11月18日・25日放送 「託す×エコデザイン」
野に咲く花。
風にそよぐ木々。
空を舞う、鳥・・・
この地球に生まれた命は皆、自然からの「デザイン」という贈りものを、身にまとっています。
託す、エコデザイン。
今、求められているのは、自然環境を大切にするアイディアを託したエコデザイン。
それは、ライフスタイルをも、エコにデザインしようとする考え方。
今夜は、エコデザインの心に迫ります。
今、環境にやさしいエコデザインが次々と生まれています。
裂織(さきおり)とは、古くなった着物などの布を一度裂き、再び織り直して生まれたもの。
裂織シューズは、質の高い昔の布に、今のデザインを掛け合わせて作られた、いわば、古着の生まれ変わり。
廃棄処分になったメンズのワイシャツから生まれた、リメイクブラウス。
アイディアから生まれたスタイリッシュなエコデザイン。
静かに時を刻む時計は、木くずを寄せ集めて創られたもの。
エコデザインとは、使えなくなった時のことまで考える・・・
だからこそ、ものづくりの精神が宿るのです。
世界的に名高い、柳宗理さんのデザイン。
日々の暮らしに欠かせない食器や家具をデザインし、高く評価されています。
そのデザインの特徴は、一切の無駄が省かれた、シンプルさ。
主張しすぎず、素直な美しさを感じさせる柳デザイン。
共通しているのは、このゆるやかなカーブ。
独特の曲線美は、柳さんの哲学から生まれました。
デザイン画や図面を引かず、まず、手で形作ることから始まる、柳さんの物づくり。
日本民芸館。
コレクションされているのは、古い民芸品ばかり。
ふだん使いのものこそ、美しさを宿している。
その理念のもとに、集められた品々です。
じつはこの展示物、すべて柳さんのお父さん、柳宗悦さんによるコレクション。
生涯を通じて集めた民芸品は、およそ1万7千点にもなります。
続いてはファッションのデザイン。
ファッションデザイナーの岡 正子さん。
ハッと目が奪われ心華やぐ美しい、岡さんの作品。
長野県、長野市。
店内にある地球にやさしいファッション。
全て土に還る素材で出来ています。
岐阜県、多治見市は、日本を代表する陶器、美濃焼の産地。
そんな美濃だからこそ、大量に生産された陶磁器をリサイクルすべきだと考えた人がいます。
長谷川善一(よしかず)さん。
長谷川さんは、14年前、あるプロジェクトを立ち上げました。
それがRe食器。現在、30社以上の企業が参加し、およそ年間220トンほどの陶磁器を再生させるまでになりました。
成功のカギを握ったのは、「回収」。使われなくなった陶磁器を再び集める仕組みだったのです。
多くの人々の協力があって初めて出来たRe食器。このリサイクルのシステムこそがエコデザインであると、長谷川さんは言います。
リサイクルのシステムを考えることも、エコデザインのひとつ。
そもそも日本には、エコデザインの精神と工夫が根付いている。
そう、考える人がいます。
日本を代表する建築家の隈研吾さんです。
日本の伝統的なスタイルを現代に融合させた独創的な建築で、世界的にも評価が高い隈さん。
今、最も勢いがあると言う日本が誇る建築家が考えるエコデザインとは・・・
隈さんが日本の伝統美を現代に活かした建物があります。
リニューアルオープンで全面的に建て替えた根津美術館。
目指したのは、「環境との一体化」です。
街と建物が自然に繋がる工夫が凝らされています。
都会では、コンパクトな空間で豊かに暮らし、地方では、その地で生まれた建材を使う。
建築のかたちは、場所との絆に託す。
それが、隈さんのエコデザイン。
東京から車で1時間半。千葉県香取市。ここに、新しいライフスタイルを考えるエコデザイナーたちがいます。
自然に囲まれた500坪の敷地に、なにやら不思議な建物が・・・
ガラスで覆われた建物の中にあるのは、小さなログハウス。
ここは新しいライフスタイルの実験場。
参加している人々は、月々わずかなレンタル料でログハウスの使用権を持ち、すべての共有スペースと周りの農地をシェアしています。
ひとつの土地に縛られることなく、同じようなコミュニティーを様々な場所に作り、土地や自然をみんなで共有して暮らす。
古きよき日本のコミュニティーが、ここでは取り戻されつつあるのです。
「人類がこの地球に生き残っていく」という壮大な想いをデザインしようとしている人がいます。
俳優の伊勢谷友介さんです。
伊勢谷さんが、2008年に仲間と共に立ち上げたのが「リバースプロジェクト」。
エコなアイディアで社会を再生させ、人が将来にわたって幸せに暮らすための新しい生活方法を探す株式会社です。
扱う分野は衣・食・住をはじめとして、水資源・エネルギー・教育など、あらゆる方面に及んでいます。
理想の未来のために、ムーブメントをデザインする。
それが、伊勢谷さんの考えるエコデザインなのです。
自然を活かして豊かに暮らしてきた日本人の感性と知恵。
そこから生まれる発想は世界に通用するデザインとして
地球の、エコな未来を形作るヒントになっていくのかもしれません。
日本民藝館
住所:東京都目黒区駒場4-3-33 |
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根津美術館
住所:東京都港区南青山6-5-1 |
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ECOMACO
住所:長野県長野市岡田町96-5 |
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BROWN RICE CAFE
住所:東京都渋谷区神宮前5丁目1番17号 |
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くりもとミレニアムシティ
電話:03-3929-4663 |
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リバースプロジェクト |
ウィリアム・リード
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