スペシャルドラマ「女優堕ち」

スペシャルドラマ「女優堕ち」

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ストーリー

バラエティ番組の収録スタジオ。そこに、女優・清嶋ルイ(40)の姿があった。
女優業を20数年やってきて、初めての芝居以外の仕事だった。決められた台本があるものの、司会の芸人が好きなようにアドリブを入れながら進行していくスタイルに馴染めず、突拍子もない発言をして収録を一時中断してしまう。マネージャーのスガワラ(50)に説得され、なんとか終えることができたが、映画の宣伝とはいえ自分には向いていないと思い知る。そんなルイの思いとは裏腹に、SNSではルイの発言が拡散され、思いのほか好意的な反応だった。

そんなものなのかと思っているルイの横を、這うように進んでいくのは三津子(5)。ルイを追い抜かしたその先には、三津子(ルイ)の母・輝子(52)がいた。
「おっかぁ、あっしをひとりにしないでくんなせぇ。おっかぁがいなけりゃ、あっしは生きてゆけませぬ」
すがる三津子を振り払う輝子---紙吹雪が舞って客席からはすすり泣きが聞こえ、舞台の幕が下がる。ここは三津子(ルイ)の一座の公演先の旅館だ。
終演後、輝子は三津子の泣きの演技がしらじらしいだの、太りすぎだのと、ダメ出しをするなか、しまいには「このナマズが!!」と怒鳴りつける。
幼い三津子は怯えながらも、いつかこんな一座なんか抜け出して母親なんか見返してやると思っていた。そして数年後に、三津子に転機がきた。
地方の巡業先近くでドラマの撮影に出くわした三津子(16)は、テレビの中の世界だった本物の女優をその目で見て、自分もいつしか東京で大女優になってやると決意。そこで女優についていたマネージャー・スガワラ(37)と出会う。
三津子はすぐさま輝子に置手紙を残し、家出同然で単身上京する。
大友オフィスに押し掛けてきた三津子をスガワラは最初相手にしなかったが、気のいい事務所社長・大友(47)に1年契約で所属を認められる。
ここから、三津子の女優への道が始まった。

清嶋ルイ(40)は、バラエティ番組にも慣れ始め、楽しくなってきていたが、芝居への熱い思いは若い頃と変わらず、持ち続けていた。小さな役でもいいと自分では思っていたが、周りはそうは見てくれない。なんでもやるのにと思っていた矢先、主演の映画の話が舞い込んでくる。久しぶりの映画の現場で体力的に厳しくなってはきたが、心は満ち足りている、久しぶりの感覚だった。
充実した日々を送るルイのもとに、母・輝子の病状が思わしくないという連絡が入る。20年以上会っていない母親との思わぬ再会に躊躇するルイだったが―。