五木寛之の百寺巡礼
放送内容
「秋篠寺」(奈良県)
住宅街の一角にひっそりとある秋篠寺(奈良県)。門をくぐれば、苔庭の鮮やかな緑に目を奪われます。国宝の本堂の壇上には、本尊の薬師如来坐像を中心に様々な仏像が祀られ、その端に佇むのが技芸に秀でるとされる天女、伎芸天立像。日本に現存する唯一の像として、堀辰雄、川田順ら、多くの文人に愛されてきました。五木さんも対面し、「後ろめたさを抱えて創作に携わる人々の背中を優しく押してくれている」と、その姿に感じ入ります。
「浅草寺」(東京都)
浅草寺(東京都)の起源は古く、大化の改新以前にまで遡ります。観光客で賑わう雷門を避けて東側の二天門を抜ければ、観音堂とも呼ばれる堂々たる本堂が構え、手前にあるのは三社祭で知られる浅草神社の鳥居です。観音堂の本尊は7世紀の昔、漁師が隅田川で見出した、秘仏・聖観世音菩薩像。絢爛たる内陣中央の厨子に密やかに祀られています。普段は非公開の伝法院庭園を鑑賞した五木さんは、若き日の浅草の思い出を語り始めました。