五木寛之の百寺巡礼
放送内容
「本山慈恩寺」(山形県)
寒河江川北岸の台地に佇む本山慈恩寺(山形県)は、三院十七坊からなる古刹です。開創以来、法相、真言、天台、修験道、時宗と各宗派が入り、現在は慈恩宗の本山。平安後期には摂関家藤原氏がこの地に持つ荘園の鎮守的な寺院として、京文化とも融合して隆盛しました。その後も時の権力者の庇護を受け、江戸時代の寺領は東北随一。壮大な茅葺き屋根を戴く本堂には都の仏師による平安・鎌倉期の優れた仏像群が安置され、寺の歴史を見守っています。
「道成寺」(和歌山県)
道成寺(和歌山県)は、物語を通して人々を信仰へと導いてきました。宮子姫の伝説は、いわば日本版シンデレラ物語。髪のない娘が観音菩薩の霊験で黒髪を授かり、時の天皇の妃になります。その経緯を聞いた天皇が建立したのが道成寺――開創にまつわる伝説です。名高い、安珍・清姫の物語「道成寺」は、女の執念を描きながらも法華経の功徳を説いています。寺に伝わる巻物『道成寺縁起』を前に語られた絵解き説法に、五木さんも引き込まれました。