五木寛之の百寺巡礼
放送内容
「永保寺」(岐阜)
永保寺(岐阜県)は、鎌倉時代の漂泊の禅僧・夢窓疎石が美濃の山に創建した寺。自然の造形を生かした庭園が禅の境地を表します。観音堂、開山堂は国宝。四方に反り返った軽快な屋根を持つ観音堂では、岩窟のような自然木の厨子に祭る聖観世音菩薩座像を特別に拝観します。権現造りの原型とされる開山堂では、のちに国師となった夢窓疎石と仏徳禅師の像と対面。五木さんは夢窓国師に倣って岩山で座禅を組み、不思議なエネルギーを感じました。
「高台寺」(京都)
高台寺(京都)は、豊臣秀吉の正妻ねねが夫の菩提(ぼだい)を弔うために建立。方丈の本尊・釈迦(しゃか)如来像の前には二人の位牌(いはい)が並びます。開山堂の天井には、ねね愛用の御所車と秀吉が好んだ御座船が生かされました。渡り廊下の観月台や、茶室である傘亭と時雨亭はともに夫婦が暮らした伏見城から移築されたもの。五木さんが特別に拝観を許された霊屋には、華麗な蒔絵(まきえ)の厨子に二人の座像が安置され、高台院像の下にその遺骨は眠っているといわれます。