五木寛之の百寺巡礼
放送内容
「二尊院」(京都)
嵯峨野・小倉山の麓にたたずむ二尊院(京都府)は、慈覚大師円仁の開山。豪壮な総門の先には「紅葉の馬場」と呼ばれる石畳の参道が続き、真っ赤なカエデがあたりを染める秋の風情は格別です。寺名の由来である二体の本尊、阿弥陀と釈迦(しゃか)の像は本堂に祭られ、人々を極楽浄土へと導きます。名高い「小倉百人一首」は藤原定家が小倉山の山荘で編んだもので、「小倉山 峰のもみぢ葉 心あらば 今ひとたびの みゆき待たなむ」が26番の歌です。
「浅草寺」(東京)
浅草寺(東京都)の起源は古く、大化の改新以前にまでさかのぼります。観光客でにぎわう雷門を避けて東側の二天門を抜ければ、観音堂とも呼ばれる堂々たる本堂が構え、手前にあるのは三社祭で知られる浅草神社の鳥居です。観音堂の本尊は7世紀の昔、漁師が隅田川で見出した、秘仏・聖観世音菩薩像。絢爛(けんらん)たる内陣中央の厨子に密やかに祭られています。普段は非公開の伝法院庭園を鑑賞した五木さんは、若き日の浅草の思い出を語り始めました。