五木寛之の百寺巡礼

五木寛之の百寺巡礼

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放送内容

「三井寺」~太平の空に響き渡る鐘の音~

日本三名鐘の一つ「三井の晩鐘」で知られる三井寺(滋賀県)。創建は千三百年以上を遡ります。もとは比叡山の別院でしたが、やがて激しく対立し、焼き討ちに遭うこと七度。「弁慶の引き摺り鐘(べんけいのひきずりがね)」は、比叡山の僧兵・弁慶が戦利品として持ち帰ろうとしたという、初代の梵鐘です。今は天台寺門宗総本山である厳かな伽藍には、兵火の歴史を経てなお、守られ続けた秘仏がおわし、鐘の音が琵琶湖畔を渡っていきます。

「浄瑠璃寺」~九体の阿弥陀如来が響く浄土信仰~

宝池をはさみ、薬師如来坐像を祀る東の三重塔と九体の阿弥陀如来坐像が並ぶ西の堂宇が向き合う浄瑠璃寺(京都府)の伽藍配置は、“此岸”である現世に送り出され、やがて生を終えて“彼岸”の極楽浄土に迎えられる命の流れを表しています。京都と奈良の県境に広がる当尾台地のうっそうとした木立に包まれる小さな寺。参道の馬酔木(あしび)をはじめ、季節の花々が境内を染める、花の寺としても参拝者を誘います。