昭和偉人伝

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青井忠治

現金を持たずとも支払いができるクレジットカード。その礎を築き、日本で初めてクレジットカードを発行、戦後の買い物に革命を起こした人物、丸井創業者・青井忠治。丸井は昭和6年に東京中野で創業、家具を扱う小さな月賦販売店としてスタートした。現在の巨大デパートに至るまでの道のりは決して順調ではなかった。
戦後、疎開先から中野に戻ると、店舗は見たこともない男たちが料理店を開いていた。忠治は単身で交渉を続け、店を取り返す。その後、新たな不運が忠治を襲う。昭和29年5月、日本人初となるボクシング世界チャンピオンを懸けた白井義男の防衛戦が行われた夜、中野本店2階のテレビ売り場の床が抜け、20名以上が重軽傷を負う大事故が起きる。忠治に非難が殺到した。また、同年に結成された労働組合が原因で、忠治は人生最大の危機を迎える。労働時間短縮を訴える労働組合との対立、家族主義を貫く忠治にとって子供同様の社員から裏切られた思いで苦悩する。
そんな苦難を乗り越え、昭和35年、日本初となるクレジットカードを発行した。月賦からクレジットへのイメージ転換を図るため、当時としては斬新なテレビコマーシャルを流す広告戦略にも打って出た。そして若者をターゲットにDCブランドを商品に取り入れ、ファンションの丸井へと発展していく。
昭和50年にこの世を去った青井忠治(享年71)は生前、社会貢献の一環として青井奨学会を設立していた。そこではOBと現役学生が集う会が催され、忠治が生涯こだわった家族主義が今も残っている。そして「お客さんを、社員を信用する」という忠治の理念は、今も丸井を支えている。
番組では、戦後日本の割賦販売の進歩に大きく貢献した青井忠治と、クレジット文化の発展を概括しながら、昭和の消費文化を振り返る。