昭和偉人伝

昭和偉人伝

  • トップページ
  • バックナンバー

バックナンバー

土門拳

昭和という時代を切り取った、報道写真の鬼、土門拳。戦後の写真ブームの火付け役となり、30年代には写真集「ヒロシマ」「筑豊のこどもたち」で、ルポルタージュの金字塔を打ち立てました。その後は日本の美を追い求め、全5集の写真集「古寺巡礼」を完成させます。戦争、娘の死、2度の脳出血…幾多の苦難を乗り越え、最期までシャッターを切り続けた鬼の原点とは―。

土門拳が写真家を志したきっかけは、意外にも母の勧めによるものでした。学生時代に画家を志したものの、挫折。職を転々としながら鬱屈した日々を過ごしていた土門に、母親が写真場の門生として働くよう進言します。写真場で土門が目にしたのは、戦前の日本にはなかった、小型カメラを使って撮られたスナップ写真でした。
くしくも戦争によって、報道写真家の需要が高まりつつあった頃。土門は日々スナップ写真を撮るためのトレーニングを積み重ね、その才能を開花させていきます。しかし、土門は戦時下で自ら撮影したある写真を、戦後長きに渡り、封印してしまうのです。

番組では、土門が太平洋戦争末期に撮影した幻の写真や、代表作「ヒロシマ」取材記録、愛弟子が語る「古寺巡礼」の撮影秘話など、貴重なフィルムや愛弟子たちによる証言を基に、土門が写真を通して現在に伝えたかったこと、そして鬼とまで言われた男の、執念の源に迫ります。