中国神秘紀行
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西南シルクロード 悠久の古道を行く ~雲南省~
今回は、中国南西部の四川省から南の雲南省へと延びる古代交易路、西南シルクロードの旅、前編です。西南シルクロードは四川省の成都(せいと)を起点に南下し、雲南省を抜けてミャンマーからインドへと繋がっています。
旅の出発点は人口約1100万の都市、成都。発展著しい町中を縫うように流れるのは錦江(きんこう)です。かつてシルクで作られた布をこの河で洗っていた事が名の由来とされています。成都は古代より良質のシルクの産地として知られ、交易品として用いられたのです。
そして近年、約3500年前に成都の地に栄えた古代蜀王国があった事がわかってきました。西南シルクロード交易の歴史は約2000年と言われてきましたが、最近の古代蜀王国の調査によって、3500年あるのではないかと考えられています。西安から西域を結ぶ北方シルクロードの歴史が約2200年と言われる中、西南シルクロードは中国最古の交易路として浮かび上がろうとしているのです。
さあ、西南シルクロードの古の面影とその魅力を求めて成都を旅立ちます。最初の目的地は、シルクロードの古道が残る雲南省の石門村(せきもんむら)です。約2000年前の秦の時代に「五尺道(ごしゃくどう)」と言われた道を、今も村人は利用しています。険しい山道を馬に荷物を乗せて縫って行く石門村の人々に同行し、かつての西南シルクロード交易の姿を追います。
そして、さらに南下し会澤(かいたく)という町に向かいます。会澤では、かつて中国皇帝にも献上されたあるものが作られていました。それは銅です。純度90%以上という良質の銅鉱石が産出する会澤では、優れた銅製品が古代より作られているのです。今でも銅製品製作の職人が200人も活躍しています。金と同等の価値で扱われたという1点何百万円もする銅製品が登場します。またこの町には、西南シルクロードの歴史を3500年も前に遡る証が隠されていたのです。
次の目的地は、雲南省の名前の由来になったとされる雲南駅(うんなんえき)という町です。地名につく「駅」は、交易商人たちの宿泊場である事を意味します。ここは古くから西南シルクロードの中継地として重要視されてきました。近代では日中戦争の時にアメリカ軍の要所となった所です。かつての交易路の様子を知る老人と出会いました。老人は近代の西南シルクロードを見つめてきた人物でした。
西南シルクロードは古代から近代まで重要なルートであり、その歴史と共に受け継がれてきた特産物や人々の暮らしが、今も魅力を放っています。
初回放送:2011年1月7日