中国神秘紀行
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駿馬が駆ける 天空のシルクロード ~甘粛省~
今回は、中国の中北部・甘粛省のシルクロードを旅します。
シルクロードと言えば、荒涼とした砂漠のイメージが旅へのロマンをかき立てますが、そこを実際に旅する事はとても過酷です。今では、四輪駆動の車で砂漠の道に入る事ができますが、それでも限界があります。そこで、重宝されたのはラクダでした。しかし、シルクロードには砂漠と共に広大な草原もあるのです。そこでは、より早く遠くへ進む事が求められたのです。そこで登場したのが馬です。シルクロードの歴史を語る上でも馬の存在は欠かせません。
シルクロードにまつわる馬の秘密に、今回は迫ります。甘粛省では馬を飼いならし始めたのは三千年も前だと言われています。馬とシルクロード、そこには今に生きる人々とも深い絆で結ばれているのです。
まず訪れたのは、甘粛省の省都・蘭州(らんしゅう)から、北西へ約150kmの所にある天祝(てんしゅ)。ここでは頻繁に馬の市場が行われています。
馬は、古く2000年も前の漢の時代に中央アジアから持ち込まれたものを品種改良し、丈夫で長距離を早く駆ける事ができると言います。
ここでの馬の売り買いの取引は、うまく交渉を成立させる伝統の方法があるのだとか?どんな方法なのでしょう?
馬と村人との暮らしに、馬への深い愛情が見えてきます。
この地域はかつて凉州(りょうしゅう)と呼ばれ、漢の時代には30万頭、元の時代にいたっては70万頭の馬が飼われていたといいます。
一体、馬は何に使われたのか、その謎を探りに訪れたのが武威(ぶい)の町です。ここには「雷台漢墓」と言われる2000年前の墓があります。この地下にその秘密がありました。地下には30頭あまりの軍馬の銅像が安置されていたのです。馬の最大の利用目的は軍事戦略のためだったのです。
凉州には、遠くチベットからも人々が馬を買い付けにやって来ます。
高原で暮らすチベット族にとっても、馬は欠かせないものです。甘粛省のシルクロードを南下、夏河(かが)に向かいます。ここにはチベット仏教を厚く信仰するチベット族が数多く暮らしています。
人々は、大自然の中に身を寄せて馬を使い遊牧の暮らしを営んできました。
標高三千mを越える天空の大地は美しく輝きます。
しかし、この豊かな草原地帯も争いの耐えない所でした。2000年以上の歴史を持つという城壁に囲まれた要塞がありました。「八角城」です。
馬と興亡のシルクロードの歴史は今も美しき大地に深く刻まれているのです。
初回放送:2010年10月1日