中国神秘紀行

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作品内容

四川 大衆演劇に魅せられた人々の暮らし ~四川省~

今回は、中国西部の四川省を旅します。豊かな土地と水に育まれ古代より多くの食物に恵まれてきました。そのため四川省は、「天府の国」と呼ばれ人々にとって暮らしやすい土地として歴史を刻んできたのです。その中で庶民に愛され続けてきた大衆文化のひとつが今、危機を迎えています。およそ200年の歴史を持つ「川劇(せんげき)」という大衆劇です。かつては、四川省のあちらこちらでさかんに行われていた川劇がほとんど姿を消しています。しかし、省都の成都などで行われる川劇は日本をはじめ外国人観光客に評判となっています。それは、今でも十分に大衆を惹き付ける魅力が秘められているからです。

川劇を守り続けその伝統を守ろうとする劇団の人々、そして民衆と川劇の関わりとはどういったものなのか?川劇とそれにまつわる人々を通して、四川省の大衆伝統劇「川劇」の魅力に迫ります。

大都会成都の町から郊外へと向かうと多くの町や村が点在しています。そこでは、川劇の伝統を守り、劇を演じ続けている劇団がいます。川劇は、三国志や伝説民話、英雄伝、恋愛物語、喜劇、漫談などその劇の数は1000以上あると言われています。一方、火吹きや「変面」というあっという間に表情を何度も変えてゆくアクションなどが知られ、非常にバラエティに富んだ舞台演出が特徴です。今では、観客は老人ばかりが目立ち若い世代は川劇に興味を示さなくなってきています。劇団で活躍する役者たちは、非常に少ない収入の中、川劇を少しでも楽しんでもらおうと日々公演活動を行っているのです。

中には、若い世代で川劇の役者を目指すものたちもいます。彼らは、将来本当に川劇を生業として暮らしていけるかどうか不安をかかえながらも、新しい川劇のありかたを目指しています。

川劇は、大衆の楽しみとして人々に欠かせないものでした。葬式や祝い事など様々な暮らしの節目には、川劇の劇団を呼んでみんなで楽しんだのです。
地方によっては、まだまだその習慣が残っている地域もあります。

庶民のおだやかな暮らしの中に根づき親しまれてきた川劇、中国の旧正月である「春節(しゅんせつ)」を迎える村の様子を通してその魅力が伝わってきます。人生の喜怒哀楽を集約したものが「川劇」だとも言われます。演じる役者、楽しむ人々、そこの間にはささやかであれ、私たち現代社会で生きる人々が忘れかけている幸せがあるのかもしれません。

初回放送:2010年4月2日