中国神秘紀行
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華麗なる唐三彩 復活の謎 ~河南省~
今回は、中国でも名器として知られる「唐三彩(とうさんさい)」の秘密に迫ります。今から、およそ1200年前の唐の時代に誕生したとされる唐三彩は、馬や女性、皿などを青、黄、白などの独特の彩色でもって優雅に表現された陶器です。
唐三彩が作られたのは、黄河流域の河南省。「中原(ちゅうげん)」と呼ばれ、中国黄河文明の発祥の地であり、多くの王朝がこの地に都を開きました。
いわば、中国の陶器の発祥の地でもあり、磁器もここで誕生しました。
ではこの唐三彩が、なぜ大変貴重な陶器とされているのか?
一般的に中国の陶器は、ふたつにわけられます。当時の支配者層のために作られたもの、一般庶民のためにつくられたものです。この唐三彩は、唐の時代の支配層である王侯貴族のためだけに作られ、主に墓に副葬品として埋葬されたのです。
現在、唐三彩は、中国では第一級の国宝として扱われ、発掘されたものは博物館で大切に保管されるほか、高額で取引きされています。
番組では、14年前に中国で巻き起こった唐三彩に関する大事件から紹介し、唐三彩の復活に懸ける人々の姿を追います。その過程で、秘伝とされ千年以上もその製作技術が途絶えてきた唐三彩の秘密が解き明かされてゆきます。
では、その唐三彩を巡る大事件とは?
もともと唐三彩の発見は、およそ90年前に唐の時代の王侯貴族たちの墓が盗掘され、数多くの副葬品が掘り出されたことにありました。この頃、盗掘によって貴重な唐三彩が、闇に流れていったのです。その多くは、中国国内の骨董品市場などで闇取引きされ消えてゆきました。盗掘された国宝である貴重な唐三彩の収集に乗り出したのが、中国の国宝を取り扱う政府機関「中国国家文物局」です。
この文物局が、唐三彩の収集および調査に河南省の骨董市場に出向いた1994年の夏のことでした。なんと、市場にぽつんと置かれていたのが唐三彩!
文物局は、これは以前盗掘された唐三彩が流れてきたものだと、すぐに買い取ります。調査の結果、本物の唐三彩であると結果がでました。ところが、また同じ骨董市場に出向くと唐三彩が置かれ、また買い取ります。しかし、再び買い取っても次々と貴重な数少ない唐三彩は出てくるのです。一体、どういうことなのでしょう?
これが、後に大事件に発展してゆくのです。
唐三彩をめぐる秘密とともに、磁器が誕生し新たな時代を迎えた河南省の陶磁器の歴史もひもといてゆきます。
初回放送:2008年10月23日