中国神秘紀行

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作品内容

郷愁の上海デルタ 昆山 ~上海~

長江下流部に広がる三角州が、「上海デルタ」である。このデルタ地帯には、大都会上海をはじめ多くの都市がある。上海デルタ地帯は、今、多くの企業が進出し発展が著しい。上海を中心に、その開発は拡大し西へ西へと広がっている。その中で、めまぐるしく時間の過ぎてゆく上海の人々にとって「心のふるさと」と言われる町が昆山(こんざん)である。
一体、なぜそのように言われるようになったのか、昆山の魅力に迫る。

昆山は、広大な上海デルタの町。上海から西へ50キロほど向かうと淀山湖(ていざんこ)という湖がある。この淀山湖のほとりにあるのが昆山だ。ここも、企業の進出があり工場が立ち並んでいる。巨大ビジネス都市上海に近いとあって立地条件がいい。ここに工場を設立している企業は、厳しい環境保護規制を自ら設けて、昆山の美しさを保とうとしている。例えば、日中の合弁会社である、コンピューターの基盤を作る会社では、基盤の材料やインクなど素材にこだわり、製造過程での廃液問題に配慮している。この会社の経営者も昆山の町に惹かれて住み着いた。そんな、昆山にも「ふるさと」と呼ぶにふさわしい町並みが残っている。

その昆山の古い町並みは、「千灯鎮」(せんとうちん)と呼ばれている。
町中を河が流れのんびりとした雰囲気が町を漂っている。
この昆山グルメといえば、ラーメンとちまきだ。
ラーメンは、龍髭麺(りゅうしめん)と呼ばれる。特徴は、龍のヒゲのように細い麺だ。小麦粉のつなぎに卵を使い、細くてもコシがある。醤油味のスープとこの細い麺がよくからんで、より美味しさを引き立てる。
ちまきは、春秋時代から2000年以上の歴史を持つ伝統的な庶民の食べ物だ。
特徴は、餅米に醤油と砂糖、そして隠し味として紹興酒を使う。また、餅米の間に豚肉を挟み込む。蒸した時に、豚の脂身が米に融け込んで絶妙な味を生み出す。枕の形をしたちまきは、日本に残るちまきの原点かもしれない。
2000年以上の歴史を持つのは、ちまきだけではない。

「昆劇」。これは、京劇などの原点となった民間の劇として近年、その魅力が話題となっている。素朴で民間伝説を主体とした劇だ。独特の発声と節回しがありのが特徴。地元の小学校では、中国にとっても貴重な伝統芸能を保存していこうと授業にも取り入れている。しかし、なぜか劇の練習を行う生徒たちのほとんどが女性であるのだ。その理由とは?
庶民の楽しみといえば、もうひとつ「漫談」だ。町にある30人程が入れる小さな茶館。この茶館で、のんびりお茶を楽しみながら漫談を楽しむ。
「漫談」を楽しむのは老人たちが多いが、もう都会ではなくなった習慣を懐かしんで楽しんでいる。
この昆山で、代々暮らす漁師たちにとって、舟は欠かせない。漁は、もちろんのこと家からどこへ向かうのも舟で移動する。普段の足が舟なのだ。
漁は、伝統的な方法で、仕掛けた網へ、板をたたきながら魚を追い込んでゆく。
フナ、コイ、エビなどが採れる。この地域は、上海ガニの養殖地としても知られている。エビを使った漁師料理も紹介し、昔ながらの暮らしを見つめる。
ここの漁師料理を懐かしんで上海から訪れる人も多い。
慌ただしい暮らしの現代の上海とは違い、人々が温かでのびやかな雰囲気は今も昆山を訪れる人々を暖かく出迎えてくれる。

初回放送:2008年7月4日