世界の名画 ~美の迷宮への旅~
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青騎士 新時代絵画の夜明け
カンディンスキー「印象Ⅲ(コンサート)」
今回、ご紹介する名画はカンディンスキー作「印象Ⅲ(コンサート)」。
画面を覆い尽くす圧倒的な黄色が印象的なこの作品は
絵画が描く対象物を離れ、純粋な抽象画になっていく過程で生まれた名画です。
20世紀の絵画が他の時代の絵画と大きく異なる点は抽象画があること。
抽象画が何故、どのようにして誕生したのか、そのダイナミックな過程を
ドイツ南部ミュンヘンに探ります。
「印象Ⅲ(コンサート)」を描いたカンディンスキーは30歳にして画家を志した
変わり種です。母国ロシアでは前途有望な学者として大学教授のポストが用意されていたのにも関わらず、全てを捨てて画家を目指しました。彼が画家修業の舞台として選んだのは当時5000人の画家がいると言われた芸術の都、ミュンヘン。
カンディンスキーはこの街で知り合った画家仲間と新しい絵画を生み出していきます。
その発端となったのは1908年と1909年のムルナウでの共同制作です。
バイエルンアルプスが美しい風光明媚なこの街でカンディンスキーは画家仲間3人と伴に
制作に熱中して、抽象画への手がかりを得るのです。
さらにカンディンスキーは青騎士と名付けた芸術年鑑誌を発行、その趣旨に賛同した
マルク、マッケ、パウル・クレーらと伴に、抽象画を生み出していくのです。
青騎士が取り上げたのは絵画の分野に留まらず、音楽まで含まれていました。
近代音楽の巨人、シェーンベルクもこの活動に共感して自作の楽譜を提供したのです。
そんなカンディンスキーの傍らには元教え子の女流画家の姿がありました。
結婚しているカンディンスキーとの許されない恋。番組では今もムルナウに残る二人が暮らした家を訪れ、カンディンスキーの素顔にも迫ります。
また4年の改修工事の後、今年5月にリニュアルオープンした青騎士作品の美の殿堂
レンバッハ美術館も取材。カンディンスキーを始めとした青騎士の珠玉の名画をたっぷりと堪能していきます。