世界の名画 ~美の迷宮への旅~

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ストーリー

美しすぎる女性像の秘密 アングル「グランド・オダリスク」

番組名

今日の一枚は新古典主義の巨匠、ドミニク・アングルの「グランド・オダリスク」。美しい女性像こそ芸術の理想であると考え、究極の女性美を追求し続けたアングルの34歳にして代表作と言われる作品です。
しかし、この絵の女性をよく見ると胴体と腕が異常に長く、当時の批評家からは「この女性は背骨が3本多い」と揶揄されたほど。
秀逸なデッサン力から「線のアングル」と称され、優美な曲線で裸婦像を最も美しく描く画家としても知られるアングルが、何故こんな絵を描いたのか?
アングルが追い求めた理想美の陰には2人の男の姿がありました。
一人は、アングルの師であり、ナポレオンに仕えた新古典主義を代表する画家ダヴィッド。そして、もう一人は・・・イタリア滞在時にその作品に出会い、大きな影響を受けたと言われているルネサンスの巨匠、ラファエロ。
アングルはこの先人達の絵画を学びそして吸収し、新古典主義ながら挑戦的な創作を続け、自らの美意識を追求したのです。
そしてアングルが生きた19世紀、パリは産業革命や都市計画により近代的な都市へと生まれ変わりました。それに伴い、当時の女性達はフランス革命のトラウマから脱却するようにファッションを解放していったのです。その頃ファッションや流行を発信するスポットとして登場したのが歩行者専用のショッピング・アーケード「パッサージュ」。
当時、全国的な流行品の販売地点として選ばれたパサージュは近代的な商品流通の起点となり、ヨーロッパ全土、また世界への情報発信地となっていったのです。どこかレトロで人のぬくもりを感じさせるパッサージュは今も地元パリの人々に愛され、旅行者のショッピングスポットとしても親しまれています。
「美の革命」の時代を生き、86歳まで究極の美を追求したアングル。彼の祖国フランスのファッションの歴史をひも解きながら、アングルが追求した究極の美の秘密に迫ります。