世界の名画 ~素晴らしき美術紀行~
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パリ・セーヌ川 歴史をめぐる旅
ダヴィッド「ナポレオンの戴冠式」
今日の作品は、ジャック・ルイ・ダヴィッドの「皇帝ナポレオン1世と皇后ジョゼフィーヌの戴冠式」。1804年、ノートルダム大聖堂で行われたナポレオンの戴冠式を描いたモノで、縦6m29cm・横9m26cm、191人もの人物が描かれた最大の歴史画であると同時に、それまで隆盛を極めていた、優雅で官能的なロココ様式と違い、堅牢さを表現する明確な輪郭線などで、形式的な美・写実性を重視した「新古典主義」の代表的な名作です。
近代フランスが誕生するその瞬間、ダヴィッドはその中心で歴史的な英雄を描き、偉大な名作を今日に残しました。その軌跡を巡ります。
戴冠式は、ローマ教皇が皇帝となる者に戴冠するのがそれまでのならわしでした。ところがこの絵画では、ナポレオンは教皇に背を向け、しかも妻ジョセフィーヌに冠を授けようとしています。それでも教皇は、祝福の意を示しています。実はここに、ダヴィッドが仕掛けた謎が隠されていました。そしてそれこそが、この名画が今でも世界中の人を魅了し、愛され続けるのかを解く鍵となるのです。
その謎と真実を探るべく、ダヴィッドとナポレオンの運命的な出会いをご紹介します。
そして、絵が飾られているルーブル美術館。絵の舞台となった、シテ島に建つノートルダム大聖堂。その二つを結ぶセーヌ河のほとりを散策し、名画の中の物語に夢を馳せます。
シテ島を出発すると、王政に反対する市民が集ったパレ・ロワイヤル。その回廊を抜けると、革命小路と呼ばれる通りへ。そこには、ナポレオンも通ったパリ最古のカフェ、ル・プロコープが、今も賑わいを見せています。
こうしたフランス革命当時の息吹を感じながら小路を抜けると、ナポレオンの外交的勝利を祝するカルーゼル凱旋門。そして、その向かいにルーブル美術館が颯爽と現れるのです。